第二の法則:「自由意志の法則」
- 魂には、自分自身の運命を選び、進化したいか否かを決める自由がある。
- 魂が、自己決断で「愛の法則」と調和するときは、すなわち、この法則を理解し同意し、これに則して行動することなので、進歩する。
- いかなる強制にも強要にもよらず、魂が自分で進化しようと心に決め、努力した場合のみ、霊的に進歩できる。
- 進化は、自由の中のみにある。
多くの説明の中で、自由意志を尊重すべき重要なものとされていますが。
その通りだ。
でも、厳密に言うと、自由意志とは何でしょうか?
魂が、自分自身でしたいことを決められる能力だ。
それでは自由意志を尊重するのが、なぜそんなに重要なのですか?
それが基本となる「魂の法則」の一つで、魂の進化向上の支柱となるからだ。
では、「自由意志の法則」とは何ですか?
「魂の法則」の一つで、魂には自分自身で自己の運命を選ぶ自由がある、とするものだ。
なぜ、自由意志によって、魂が進化向上するのですか?
なぜなら霊的な進歩は、本人自身の決断でそれを心に誓った時、つまり何の強制も強要もなく、魂の自由意志で進歩しようと決めた場合にのみ、本物となるからだ。
なぜ、そうなのですか?
進歩が強いられたものなら、強制または強要していたものが失われるや、魂は元の状態に戻ってしまい、あてがわれた環境には順応できないからだ。
「自由意志の法則」が「魂の法則」なら、なぜ地上ではこれが適用されていないのでしょうか?
適用されているよ。「魂の法則」は、各魂の真髄に刻まれている。魂には、常に幸福を求めるように駆り立てる力があって、幸福を追求することによって進化する。魂は本質的に自由な存在なので、愛がなければ幸せになれないように、自由でいられなければ、霊的に完全に幸せではいられない。
神が魂に自由でいることを望まなければ、奴隷であっても幸せでいられるような性質に創ったことだろう。しかし、実際は、全くその逆なのだ。すなわち、魂は、どのような形であろうと隷属していると不幸なので、自由であるために創造された、と結論づけられる。宇宙のどこでもそうであるように、地球でも、魂は自由なのだ。
しかし現実には、僕たちの惑星の大半の人は、自由に行動するどころか、無理をしてやりたくもないことをしたり、そうするように強いられたりしています。
全くその通りだ。君たちの世界ではそうなのだ。
大多数の住人がほとんど進化していないために、「自由意志の法則」は、いつも守られることがない。それは、人がまだこの法則を知らないせいか、自由意志を尊重するにはエゴ(我欲)の放棄が不可欠なので、故意にこの法を尊重したくないかのどちらかだ。
霊的学習の狙いの一つに他者の自由意志の尊重があるが、自分の自由意志も尊重しなければならないのだ。
では、「自由意志の法則」は、もっと進化した他の世界では、住人側から理解され、尊重されているのでしょうか?
その通りだ。これは、宇宙レベルの「魂の法則」なのだから。
そして、それらの世界では、他の「魂の法則」と共に、自由意志の尊重が重視されるがゆえに、君たちのよりもずっと幸せだ。
彼らにこちらに来てもらって、幸せの秘訣を教えてもらえませんか?
進化した魂は、「自由意志の法則」を理解し尊重し遵守しているがために、進歩が少ない魂が住む世界と関わる時は、特に、この法則に違反しないように非常に気を遣っている。害を与えるつもりがなくても、関与し過ぎると、進歩の遅れた魂や文明がより高度なものに依存してしまい、その惑星の進化を停滞させてしまうからだ。
そのため、霊界や高次の世界から下位の世界に与えられる援助は、いつもとても精妙でなければならず、絶対に要請する側の意に反してはならず、その自由意志を無理強いしてもならない。要請側が、支援を受けて成長したいという意志表示をする必要があるのだ。
問題の焦点がはっきりしないのですが、わかりやすく例を示して下さいますか?
いいだろう。高度な世界から地球に人がやって来て、皆がその人の能力を認めて、地球の政府を明け渡し、すべての問題を解決してもらおうと決めたと想定しよう。
その人の出身地では、魂の諸法が理解され、動物を尊重し、その殺傷を禁じ、菜食主義であったとする。そのために、彼が故郷のやり方を模倣し、狩猟や闘牛、肉の消費などを禁止する動物保護法の奨励を決めたなら、君たち地球人は、自ら進んでそれを放棄するだろうか?
どうするか、わかりません。賛同する者も反対する者もいると思います。
どんなに甘く見ても、現状では人類の80%以上が、その方策に反対するだろう。そして新しい法律の導入を阻止しようと、地球上で、ひどく暴力的な抗議運動や反乱が起きるだろう。
ジレンマに陥った主導者は、どうすべきであろうか? 人民を満足させるために、自分自身の信念を放棄すべきか、またはその反対に、大多数が反対しても法律を押しつけるべきだろうか?
最初の選択をすれば、自分の意に反したことを行う必要があるので、自分自身の自由意志に背くこととなる。二つ目を選べば、民衆の意に反する法律を課すので、彼らの自由意志に背くことになる。
それは、解決策のないジレンマですね。
実は解決法はあって、現にそうなっている。つまり君たちの世界では、進化した者が統治していない、ということだ。
君たちレベルの世界で、実際に進化した者が政治の要職に就いていないとしたら、それは単に、君たちの大半が彼らに指導されたくないか、それとも、その改革案を受け入れたくないからなのだ。そして彼らも、強制しても無駄なことを知っているので、自分たちの意志を強要しようとしない。
君たちの惑星の歴史では、ある程度正直な者たちが権力の要職に就いて、より良い方向に舵取りをしようと試みたケースが数多くあった。それなのに、どうなってしまったろうか? 短い期間しか存続できなかった。周囲の者が、彼らを排除してしまったのだ。
だから進化した魂は、助言を与え、強要せずに手本を示して説得するに留まり、それぞれの人が、納得したものを選ばなければならないという訳だ。
地上に「自由意志の法則」を適用して、進化した世界のように、僕たちがそれを守ることを決意したとしたら、どんないいことがありますか?
隷属、強要、抑圧、懐柔、傷害のあらゆる形態がなくなるだろう。
進化した存在は、絶対に他者の生命の権利を侵すことがない。それゆえ、戦争や死刑、殺人や堕胎など、他人の命の権利を侵害する行為はなくなるだろう。子どもや大人への暴力や性的虐待もなくなるだろう。よって幼児偏愛、強姦、売春や、他者の意志を捻じ曲げたり強要する性行為――特にもっと弱く無防備な場合――のすべての形態が消滅するだろう。
思考や感情の自由な表現を阻むすべてのものが消えるだろう。よって、検閲、操作、計欺、弾圧や誘拐も存在しないだろう。
人種、宗教、文化、経済、政治やその他の違いから、他人への抑圧、攻撃、統制、暴力を正当化する利己的な宗教、哲学、学説は、どれも消滅する。それゆえ、人種差別、全体主義、ファシズム、宗教的狂信、軍国主義、帝国主義、資本主義なども、少数の者の利得がその他大勢の苦悩の上に成り立つイデオロギーなので、なくなるだろう。
魂を強要して隷属させる形態は、それが物的であろうと精神的なものであろうと、どれも失敗に終わるだろう。
なぜなら、魂の内面は、隷従させられるものに反抗し、遅かれ早かれ、自由を求めて全力で戦うからだ。魂の「自由意志の法則」を尊重しない教義、宗教、イデオロギー、政治及び経済体制の、どれもが不安定で短命なのはこの理由による。一方、「魂の法則」に基づいたものは、安定しており永続的だ。家族の輪の内外を問わず、親が子をまたは子が親を、夫が妻をまたは妻が夫を、上司が従業員を、強者が弱者を、奴隷化したりや肉体的または精神的に虐待することは、すべてなくなるだろう。他の生き物に苦痛を与えたり殺したりする趣味や気晴らしは、どれもなくなる。特に高等哺乳類など進化が近い存在に対する、闘牛、狩猟、釣りや先進国における畜産など、それをしなければ人間の生存が脅かされてしまうと反論できないような行為はなくなるだろう。
でも、法則に従うには、それを知るのが大事ですよね。どうすれば興味のない人たちに、何らかの形で強要せずに、教えることができるのですか? 登校を拒否する反抗的な子どもに、学校に行くよう強制するのと同じようにする必要はないでしょうか?
「自由意志の法則」を守るのは、魂が自由に決断することを尊重するためだ、と言ったばかりだろう。どんなに霊性の高い法則でも、それを押しつけてしまえば、法則自体に違反することになるので、本質的にそうできないのだ。
強要するのは、最善策ではない。繰り返すが、押しつけたり強制して得られたものは、強制力がなくなると、失われてしまう。魂は本来の姿に戻ってしまい、お仕着せの環境には順応できないのだ。
輪廻転生をして前世の記憶を忘却するのは、まさしく、魂が自由意志を経験し、何の規制も受けずに自分の力で進化するためのものだ。そのこと、つまり前進するか否かや、進歩するための試練の種類を決めるのは、魂自身の自由であることは、前に充分話しただろう。
君が言った、子どもと学校の例に関しては、霊的に最も進化した教育の潮流では――それは君たちの世界にも届いているが――学習を退屈なものではなく魅力的にして、強制せずに子ども自身の能力を刺激する方法を模索している。義務ではなく熱意、それが、子どもが学ぶ一番いい方法だ。
それなら、どれが、「魂の法則」を教える正しい方法でしょうか?
唯一の方法は、手本を示して説得することで、それが地球に転生した高次の存在たちが行ったことだ。私は、「愛の法則」や「自由意志の法則」、その他の「魂の法則」を教えるために地上に転生した、イエスや仏陀やクリシュナ、ゾロアスター、アントリオン(訳註:アトランティスの時代の賢者で、その叡智は後世のギリシャのソクラティス、プラトン、アリストテレスなどに伝えられている)や、他のアヴァター(神の化身)など高次の者のことを言っているのだ。
彼らは、法則を個人的に適用した自分自身の生き方で、魂の諸法と協調した生活の手本を示した。しかし、それを真似するように人を強要することは決してなかった。
イエスの信奉者だとされる人たちには、「自由意志の法則」は、きちんと伝わらなかったようですね。暴力や強制や恐怖を通して、自分の信仰を、他者に力づくで押しつけたのですから。宗教裁判や十字軍を行った、カトリック教会を指しているのですが。
それは、信奉者たちが、授かったメッセージのレベルに達していなかったためだ。しかしそれは、イエスやその他のアヴァターのせいではなく、総体的に進化が乏しい君たちの世界のエゴのせいで、それが特定の人たちに元は真実であった教えを独占させてしまい、彼らが他人を支配し操るために、教え自体を歪めてしまったのだ。
押しつけたり強要する宗教や信仰は、魂を進化させることなどできないし、真実だとも、神や高次の霊性と調和しているのだとも考えられない。「自由意志の法則」を破る者は誰であれ、神の仲介者だとも神の意向に沿う者とも見なすことができないので、時間が経てば、成す術もなく地上から消えるであろう。しかし、それはかなり大事な話になるので、別の機会に特別に扱おう。
でも、高次の存在が関与してくれたにもかかわらず、この世界で、物事が大きく改善されたようには見えないのですが。
幾らかは改善されたよ。過去の時代には、人間が食用に、家畜のように飼育されたこともあったが、今の君たちには、嫌悪すべきことに思えるだろう。今日地上では、事実上、人肉食は淘汰された。
合法的な奴隷制度が存在し、全世界で奴隷の売買が行われていた時からまだ二百年も経っていない。現在では別の形の隷属化が存在するとはいえ、少なくとも合法的な奴隷制はすべての国々で追及され罰せられたので、法の陰に潜んでいる。
世界ではまだ複数の地域で、宗教上の理由から迫害されることもあるが、激しさも残虐性も緩和され、宗教改革以前の欧州では想像もできなかった信仰の自由の権利を保障する法規が、多くの国に存在する。また、懲罰の方法としての死刑は、多くの国で廃止された。
国連のような国際組織で、人権宣言憲章が草稿され承認されたことは、それが実際に遵守されている訳ではないが、蹂躙できない基本的権利に同意できる進化した魂が、君たちの惑星にも存在することを示す明確な例だ。
その中では、自由意志の行使を保障する権利がはっきりと具体的に記載され、人類の自由意志を侵害するものを阻止する行動を確約するよう、諸国に要請している。
それゆえこの憲章は、「自由意志の法則」が上手く応用されたもの、と見なすことができる。十戒の中でも、「殺すなかれ」、「盗むなかれ」のように、自由意志に言及した戒律が幾つかある。
しなくてはならないことがまだまだ沢山あるとはいえ、過去の時代の状況と比較すれば、進歩しているのだ。
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魂の法則 Part12【霊的裁きの法則】
魂の法則 Part1【序文】
魂の法則 Part2【最初の出会い】
魂の法則 Part3【神】
魂の法則 Part4【霊的世界】
魂の法則 Part5【進化の構図】
魂の法則 Part6【人間の構成形態】
魂の法則 Part7【人間の転生とそれが霊性進化に果たす役割】
魂の法則 Part8【霊界との交信】
魂の法則 Part9【転生のプロセス】
魂の法則 Part10【他世界での生】
魂の法則 Part11【自由意志の法則】
魂の法則 Part12【霊的裁きの法則】
魂の法則 Part13【愛の法則】
魂の法則 Part14【愛VSエゴ(我欲)】
魂の法則 Part15【虚栄心(見栄)・自尊心(プライド)・自負心(尊大)】
魂の法則 Part16【エゴ的感情】
魂の法則 Part17【人間関係と「愛の法則」】
魂の法則 Part18【「愛の法則」から見た病気】
魂の法則 Part19【イエスの地上での使命】
魂の法則 Part20【別れ】
魂の法則 Part21【あとがき】