第18章 またね・・・アミ
「きみの家族が下で待っているよ」
とアミは思い出させるようにビンカに言った。
「私の家族なんかより、ペドゥリートのほうが大事だわ・・・」
とビンカは僕の手をにぎったまま言った。
「きみ自身の小さな家族じゃなくて、大きな家族、キアの人類のほうを言っているんだよ。きみの使命と、この世界にくる前に交わした約束を忘れないようにね。
もし、きみのような人が、愛のみによって動いている我々の神聖な宇宙計画について、よい知らせを広めなかったとしたら、人々は相変わらず、我々のことを冷血な怪物の侵入者と考え続けるだろう。
我々は、我々の出現によって多くの人が恐怖をいだいたり、ショック死したりするのを平気で見ていることはできない。だから、もし誰も愛の種をまくことをしなかったとしたら、いったいどうやって破滅をさけることができるの?」
「たしかにそのとおりよ、アミ。でも、私とペドゥリートとのこの新しい関係は・・・」
「少しも新しいことじゃないよ。永遠のことなんだ。それを実現するには永遠の時間があるよ。でも、今はなによりもきみたちの約束を果たすことが先決なんだ。もっと先になれば、また会えるからね」
「でも、きっとそれは別の人生でのことだろう」
と、僕は落胆して、かなり悲観的に言った。
「すでに言ったように、また次の本を書いたあとでのことだよ。それとも、僕のことを嘘つきだと思ってるの?」
僕たちは目を輝かせて見つめ合った。
「本当に?」
「本当だよ。いつか、きみを迎えに行くよ、ペドゥリート。そして一緒にビンカのいるキアへ行こう。それからきみたちには全く思いもよらないところへつれていって上げるよ・・・」
「その思いもよらないところって、どこ?ねえ、教えて!」
とビンカが待ちきれない、といった口調でたずねた。
「うん、外部に第三段階の文明がある世界だよ。地球やキアのようにね。でも、その惑星の内部には第四段階の文明があるんだよ。それなのに第三段階の人たちは第四段階の文明が存在していることを全く知らないでいるんだ・・・」
「うわぁー、すごい!」
アミの約束は、僕たちのつらい別れを忘れさせた。
「で、その他には?」
「うん。海底にある文明、それに人間によってつくられた完全に人工的な世界。それはきみたちの想像の枠をはるかに超えたものだよ」
ポカンと大きく口をあけた僕たちを見て、アミは笑って言った。
「じつはそれはなんと巨大な宇宙船のことなんだよ。それが、もっとも優れた文明のかたちなんだ・・・宇宙に文明は数百万とあるんだよ」
僕は、少し考えたあとで言った。
「人工的なほうがずっと優れているって・・・よくわからないけど、僕は自然と一緒に生きるのが、一番進んだ生き方かと思っていたよ」
「人類が考え、つくり出したもので、愛の法に調和しているものは、みな自然なんだよ。人類が永遠の原理と調和して行動するとき、宇宙の全てが人類の資産となる。この資産はできる限りの想像力や技術を使って、幸福のために利用することができるんだよ。
それはまた、一人ひとりにとっても同じことなんだよ。自分の魂が想像したこと全ては実現可能なことだから、もし本当に望んでいることなら、努力と持続と信念を持って是非とも実現すべきなんだよ・・・。
でも、きみたちは、世界から武器をなくすだけで、世界中の飢餓や苦悩を解消できるということを夢にすら思い描いたこともない。きみたちの世界がたった15日間で、武器のためにどのくらいお金を使うか知っている?」
「う~ん。全くけんとうがつかない」
と僕は言った。
「そのお金で、世界じゅうの人が何日くらい食べていけると思う・・・?」
「エーと、15日間使う軍備費だけで、世界中の人の食糧がどのくらい賄えるか・・・うーん、すごい数だし・・・」
想像がつかなかった。
「私、同じ日数くらいだと思うわ。でも、そうしたら飢えている人がひとりもいなくなるわ!」
とビンカが言った。
「いや、いや、とんでもない。15日どころか、何年もだ!何年もだよ。たった、15日間の軍備費で、世界中の人口の全部の人が何年も十分に食べていけるんだ」
「そんなこと、とても信じられないよ!」
ふたりともおどろきと怒りを混じえてさけんだ。
「でも、武器だけで?」
「戦争に関連しているもの全てだよ。いろいろな新しい武器の研究開発費や戰争兵器の製造など・・・いや、実際にはそれ以上の額になるよ。だって、たいてい巨額な出費は”科学計画”などといった名目にカモフラージュされているものの、その最終目的は敵を支配しようとするものだからね。
もし武器や兵器にお金を全く使わないとしたら、飢える人はひとりもいなくなるどころか、全ての人が大金持ちのような生活ができるんだ。全ての人がだ!
誰も飢えや寒さを心配する必要もなければ、いつも十分な数の快適な病院があり、貧しい国も富んだ国もなくなる。全ての人がみな、王様のようだよ。そのうえ、自分たちの子供の未来になんの恐怖もいだかずに、安心して眠れるんだ」
「じゃ、私、私の国に武器を無くすように提案するわ」
とビンカが言った。
「でも、それはまだまだできないよ。全ての国がお互いに同意し合って、平和的に統一していかなければならない。たとえ、今のところ夢のような話であっても、その大きな理想をかかげ、それをじょじょに浸透させ育てていかなければならない。
でも今のところ、それを実現するには大きな障害があるんだ。だって、富んだ大国が貧しい国を食いものにしているからね・・・」
「神はもうこんな悪いこと、許し続けるわけないわ」
ビンカは激しい口調で言った。
「まだ、相変わらず神がなにかしてくれるとでも思っているの?神は愛だ。愛はきみの心の中に住んでいる。その愛が、きみたちの世界をまっ直ぐにする努力をひき受けるよ。
でも、きみたち自身で行動すべきなんだ。全て平和的な手段を通してね。押しつけるのでなく教えて上げることだ。全ての人が、平和的にお互いに同意し合って、あとに続いていけるような道を示して上げることだよ。
神や誰かがやってくれるのを待っているのではなく、自分たちで行動することだ。ただ、待っているだけだとしたら、辿り着くところは、破壊だけだよ。最後に誰かがボタンを押すのを待つだけになるよ・・・」
「もし、そうなったら、きみたちは光線を発するとかして、そのボタンを押せなくするの?」
「もし、きみたちがボタンを押すのを許したんだとしたら、きみたちの世界は、結局それだけの水準しかなかったということだ。我々は全く干渉できない。
ただ、統一と平和と愛をひろめようと努力し、それに貢献した人たちを救出することしかできない。今のような危険なときには、その仕事がとても重要であり必要なんだよ」
「じゃ、別のことに従事すること、例えば大量の食糧を手に入れるために働くとかいうことは、役に立つことじゃないの?」
「全て必要だ。でも、いつもまず優先すべきことがある。もしきみの子供が空腹だったとしたら、第一にしなくてはならないことは食糧を手に入れることだ。
でも、空腹であっても今まさに断崖絶壁から落ちる寸前だとしたら、まず最初にしなければならないことはなんだろう?食糧をさがすこと?それとも断崖から安全なところへ助け出すこと?」
「当然、断崖から助け出すことのほうが先決だよ」
「きみたちの世界は今、その子供のような状態なんだよ。子供には食糧も衣類も、そして文化や芸術や好ましい環境や医師や、あるていどの快適さ、知識、慈しみなどが必要だ。
でも死にかけている子供に第一にしなければならないことは、その命を救うことだ。そして、もう命に危険がなくなったときにはじめて、その他の必要な素晴らしいものを与えてあげることができるんだよ」
「”子供”を死なせないためには、どんな方法があるの?」
と僕にはそれが人類のことを意味しているのだとわかって聞いた。
「きみたち次第だよ。さっきの絶壁の子供の例を続けるけど、三人の兄弟が絶壁にぶら下がったままの小さな子供の服をつかむことができたとする。
でも、もち上げるだけの十分な力がないとする。その場合、いったいどうすべきだと思う?」
「うーん。助けを求めてさけぶよ。両親や別の兄弟や誰かを呼んだりして・・・」
「ちょうど、そのためにあるんだよ、きみたちの本はね。警告や助けのさけびなんだよ。もし、三人の子供のうち、ひとりがもうダメだとあきらめてどこかへ行ってしまったとする。そうしたらいったいどうなると思う?」
「たぶん、他のふたりも疲れ果てて、小さな子供を支えきれなくなるかもしれない・・・」
「そのとおりだよ。だからこの仕事は、あきらめて手をひく人が多ければ多いほど、それだけ危険度も高まっていくんだよ・・・おそらく、きみの参加・不参加が、この均衡の傾きを左右するだろう。
そう、きっときみの世界は、きみの惑星の運命は、この本を読んでいるきみの行動しだいだろう。きみがきみの惑星の全ての運命の決定をくだすことになるだろう」
(アミは、僕たちに、この言葉をそっくり、僕たちの本にのせるように言った。これはより高い宇宙のシステムのことを反映しているとのことだ。よくわからないけど、読者への”さけび”としてアミの言ったとおりに書いておく)
「おなかすいた?」
とアミが言った。
とてもメランコリーな状態にいた僕たちふたりに、その質問は、ずいぶん失礼なものに感じられた。
「ほら”バッテリーの充電”が必要だ。ここに座って」
アミは、僕たちのえり首に、15秒の充電で8時間の睡眠に値する装置をつけた。目ざめたとき、全てが完璧だった。もう悲しみも残っていなかった。それどころか、とてもすっきりした気分だった。
でも、少しずつ、あのつらい別れが思い出されてきた。たとえ、もう以前ほどではなかったにしても・・・。
「今度また、きみたちに会うときには、もっと別のことをいろいろ話そう」
ビンカは僕をあまく悲しい視線で見た。そして、そのあとアミを見て言った。
「私がアミを待つ一番の動機は、新しいことを知ることでも、知らない惑星につれていってもらうことでもないわ。ただペドゥリートに会えるということだけよ」
ビンカは僕の横にきた。僕たちはまた手を握り合った。
アミは立ちあがった。
「きみたちは、本当に”雑音”をたてすぎるよ。僕は、ちょっと頭をすっきりさせるために、数分、瞑想してくる。
そのあいだ、きみたちは、お互いに別れをつげ合ったり、嘆き合ったり、ぐちったり、床を爪でひっかいたり、反乱を企てたり自殺をこころみたり・・・とことんムダな悪あがきをしたらいい。そして、そのあとでビンカはキアへ、ペドゥリートは地球へ戻っていくんだ」
とアミは言いながら、例の部屋の中へ入って扉を閉めた。
悲しかったけれど、アミの言葉には思わずほほえまずにはいられなかった。たぶん、僕たちを元気づけようとして言ったんだろう。
別れ
この最後の部分は僕にとってあまりにも悲しく、そしてプライベートなことだ。だから最後まで詳しく語るのはやめようと思う。申しわけないけど理解してほしい。
もし、この本を読む人が、僕たち子供や子供の魂を持った人だけだったとしたら、少しも問題はない。でも、いつ、予期せぬときに、暗闇にひそんでいる大人の手にわたるかもわからない。
もし彼らが善良な宇宙人の存在する可能性とか、宇宙人が世界の統一や、公正で平和な世界の建設のために闘っているなどと聞いたら、せせら笑うのは間違いないことだし、愛が宇宙の基本法だなどと聞いたら、身をよじって笑い出すであろうことは目に見えている。
だから、彼らの前では真実とか感情のデリケートな部分のことといった深刻な話はしないほうがいいんだ。
そのことは、いつだったか、いとこのビクトルの本を読んでいたとき、引用されていた中国の古い格言にもあった。今、はっきりとは覚えていないけれど、だいたい次のようなものだった。
“大人に愛について語ると
大声で笑い出す
もし笑わなかったとしたら
真実の愛について語らなかったからだ”
ビンカは行ってしまった。僕はひとりきりになった。でも夜、眠る前に目を閉じて、心を静めると、何分かしてから、彼女が僕の中に入ってくるように感じる。
なあに、子供の考えることだよ・・・。
地球に戻っていく旅の途中で、アミは過去の映像をいろいろ見せてくれた。本当のキリストやシーザーやそれから・・・うん、もうあまりはっきり覚えていない。ああ・・・そう、僕自身の赤んぼうのときの姿とかもね。
でも、僕は何にも興味がもてなかった。僕は瞑想するために例の部屋に行った。そして、アミが呼びに来てくれるまで、ずっとそこにとどまった。
「ペドゥリート、着いたよ。もし地球が自滅してしまったときに備えて、救出した人たちが住めるように用意してある世界にね。さあ、おいで」
そう言われてもあまり興味もわかず、アミへの礼儀のつもりで外をちらっと見た。
僕たちは、あの温泉場の砂浜の上にいた。夜が明けかけていた。
「ここは地球じゃないか!」
と全く理解できずにさけんだ。
「そうだよ。ここに生き残った人たちが住むんだ」
「で、でも・・・僕、別の世界かと思っていたよ・・・」
「別の世界になるよ。平和で不正のない愛の世界にね。もし破壊が起こったとしたら、我々がなんとか全滅にまでいたらないようにするよ。
大惨事の起こる前に救出する必要のある人たちを救い出し、そのあと、汚染され、破壊された惑星を綺麗にして、彼らをそこに戻し、そこに美しい世界を建設できるようにするんだ。もっとも、破壊することなく、そこに辿り着くのが一番望ましいけどね・・・」
「きみは別の惑星を用意しているって言ってたよ・・・」
「そうは言わなかったよ。世界について言ったんであって、惑星の名前は言っていない。それは、本当はここなんだよ。前に見た地震対策の仕事も、この新しい秩序のためでもあるんだよ。さあ、元気を出して!地球が全滅するということはないよ」
そう言われても、うれしくも悲しくもなかった。ただ、ビンカのことだけを思っていた。アミはなんとか楽天的にふるまって、僕の気持ちを少しでも明るくしようとした。
「じゃ、次の旅、こんな映像を見せて上げるよ。”おしめをしたペドゥリート”!想像してごらん、ビンカが見たら、大笑いするよ」
僕はアミに、元気が出なくてごめんなさい、と言った。彼は、気持ちはよくわかるけど、そんな悲しみなんか全く無意味だし、直ぐに消えちゃうよと言った。
円盤の扉があき、黄色い光が着いた。僕たちは、強く抱き合った。僕は、さよなら、と言って、僕を海岸へとみちびく光彩の中に入っていった。
「さよならじゃないよ。またね・・・だ」
とアミが僕を元気づける声を、降りる途中で上のほうから聞いた。
前のときと同じように砂浜に僕の足が着いてから上空を見あげてみたけれど、なにも見えなかった。”UFO”は視覚不可能な状態にいた。
そのとき、突然大きな騒ぎ声がビクトルのテントの中から聞こえた。
「ウワァー・・・た、助けてくれーッ!」
僕のいとこがテントの中からすごい勢いでとび出してきた。
その悲鳴は、僕を感傷的な気分から直ぐに現実にひき戻した。
「どうしたの?ビクトル!」
「ペ、ペドゥリート・・・テ、テントの中に・・・すごおく・・・でかい・・・!
とビクトルは息をハーハーさせながら言った。
「ビクトル、いったいなにがあるっていうんだい?」
「ぞ、ゾウだ!」
「エーッ!?ゾウだって?そんなこと言ったって、こんな小さなテントの中にゾウなんて入れるわけないよ」
「本当だよ。本当にいたんだよ。すごぉくでかいやつが。そのでかい足を胸の上に感じたとき、突然目が覚めたんだ。踏みつぶされる寸前だった。なんとか運よく逃げ出せたけど・・・」
直ぐに、なにが起きたのかわかった。アミが遠隔催眠をかけてビクトルをからかい、僕を悲しみからぬけ出させようとしたんだ。それはあるていど、成功した。僕はしっかりとした足どりでテントへ向かった。
「あぶない!もどれ、ペドゥリート!」
ぽくはテントの中に頭をつっこんで、中をのぞきこんだ。とうぜんのことながら、中は空っぽだった。
「なにもいないよ、ビクトル」
僕のいとこは、全く途方にくれていた。
「で、でも・・・」
「きっと夢を見ていたんだよ」
僕たちはたき火をおこして朝食の用意をした。
「どうしたんだい、そんな悲しそうな顔をして」
とビクトルは、僕の落ちこんでいる様子を見て言った。
直ぐに僕は、あの件を永遠に封印するためのいいアイデアが浮かんだ。
「うん、岩に行ってきたんだよ・・・」
「いつ?」
「ビクトルの起きるちょっと前に。だからさっきビクトルが僕をテントの外で見たのは、ちょうど岩から帰ってきたところだったんだよ」
「俺があんなに言ったのに、ちっとも言うこと聞かないで!全く・・・で、どうした?あったのか?」
「僕が悲しんでいるのを見ればわかるだろ?」
もう、そのときには、他人がどう考えようとどうでもよかった。もう、アミの存在について、誰にも納得させる必要を感じなかった。僕が確信しているだけで、もうこれからは十分だった。
「やっぱり、そうだろう。俺の言ったとおりだ。夢だったんだよ」
「ビクトルのゾウと同じように?」
「そ、そう。そうだよ!それと全く同じだ。現実そっくりの夢っていうのもあるんだよ。でも、たんなる夢にすぎないんだ。想像と現実を混同するのはよくないことなんだよ。わかったかい?」
結論
“想像と現実を混同するのはよくないことだ”。でも、アミは”人はみな、一人ひとりが自分の想像しうる世界の中に住んでいる”と言った。
そしてまた、こうも教えてくれた。
“自分の魂が想像したものは全て、実現可能なことだから、努力と持続と信念を持って実現すべきだ”と。
武器が支配している、かたく冷たい世界を信じるかわりに、僕は愛が支配している世界を信じる。もし同じ夢を見る人が沢山いるなら、きっとそれは実現するにちがいない。大人たちの嘲笑や武器や”そんなことムリだよ・・・”のセリフは、大人たちに任せておけばいい。
子供のハートを持った僕たちは、あのくまん蜂のようになろう。あのまるまる太った重い身体に小さな羽じゃ、航空力学の常識からすると、決して飛ぶことができないという。それは科学的に実証されている。
でも、科学者の言うことなど全く知らないその無知な虫けらは、無分別に、そして大胆に大空に身を投げる・・・そして全ての蜂の中で、もっとも上手に空を飛ぶという・・・。
ひと握りの”くまん蜂”の精神で、小さな子供は断崖から落ちずにすむ。少なくとも僕のおとぎ話の中では・・・。
もうひとつの結論または続・結論
(だって、全てに名前をつけなくっちゃいけないから・・・)
それほど遠くない海岸に、高くてかたい岩がある。その岩のてっぺんに、誰だか不思議な人が翼のはえたハートのマークを刻みこんだ。でも、それを見つけることができるのは、ただ、汚れなく無邪気に遊んでいる人だけだという。
そして、残念なことには、ほんのわずかの子供たちしか、それを見つけることができなかった。子供は大人よりもみな敏捷で身が軽いにしても、子供の中には汚れなく遊ぶ子もいれば、とても恐ろしい遊びをする子もいる。
この岩は、まさにその素晴らしい世界への出発点であるから(その素晴らしい世界の人たちは、いつもそういうふうに遊んでいる)、恐ろしい遊びをする人や、ときどき汚れなく、そしてときどき眠って、恐ろしい遊びをする人を受け入れるという危険を犯すわけにはいかない。それが即、美しい世界を破壊する原因につながりかねないからだ。
さらにまた別の結論または続・続・結論
それを知っている人の話では、あるひょうきんな老人が、あの岩のてっぺんまでのぼりきったということだ。村人たちは夜じゅう、空にとても奇妙な光を目撃した。
翌日、若返った老人は、陰気で病んだ都会に向けて元気に出発していった。なんでも”小さな子供”を助けるんだというようなことをつぶやきながら・・・。
終わり?
人類が分裂し続けたままで
手に剣を持って
不正に生き続け
地球や人類の相続遺産を破壊し続け
愛に無知でいる限り
ノー!!(終わりじゃない!)
おわり