宇宙人アミ

「もどってきたアミ」第16章 アミの両親が教えてくれたこと

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第16章 アミの両親が教えてくれたこと

スクリーンに八歳ぐらいの笑顔のかわいい女の子があらわれて、とても感じのよい視線で僕たちを見た。

アミは「シュー」とか「シィー」とかいった、やわらかい音から成る言葉で、彼女にささやきはじめた。

スクリーンの女の子も同じ言葉で話している。直ぐに翻訳器を通して会話の意味が理解できた。

「やあ、ママ」とアミが言った。とても大きなおどろきが僕とビンカのふたりをおそった。

「よく帰ってきたね。ちょうど今、ケーキの準備ができたところよ。そこにいる友だちと一緒に来られたらいいのにね。どこの子たちなの?」

「未開世界からきているんだよ。救済計画に参加して”親交世界”に入るのに必要な度数に達するための努力をしているんだよ。彼女がビンカ」

「こんにちは、ビンカ」
とアミのお母さんと思われる小さな女の子が言った。

「そして、彼がペドゥリートだよ」

「こんにちは、ペドゥリート。うーん、この子たちふたりは双子の魂のようだけど、違った惑星からきているようね。こんなことがあるの?」

「それぞれ自分たちの惑星を救済する使命を担っているんだけれど、元々は”親交世界”からきているんだよ」

「そんなに離れていて、さぞかし大変でしょうね。そんなに若くて・・・」

と僕たちをとても優しい眼差しで見た。こんなに小さな女の子から、ふたりとも若いなんて言われているのは、ちょっとヘンな気持ちだった・・・。

アミはお母さんを静かに見ていた。テレパシーで会話していることはわかった。女の子はなにかを理解したとみえて、僕たちにこう言った。

「戦いなさい。あなたたちの世界の平和と統一と愛のために。沢山の困難や無理解が取り巻いているでしょう。でも、宇宙最大の力はあなたたちの味方ですよ。きっと、最後には種は芽を出し実を結び、平和と統一が実現するでしょう。

それからあなたたちの住んでいる物質世界の誘惑には十分注意してね。どうして自分たちが未開世界にいるのか、そしてどこからきたかということをいつも思い出すようにね。

あなたたちの世界は幻想と嘘が支配しているわ。あなたたちの魂が、はかないせつな的なもののほうに傾かないように。現実を、真実を、そして愛をいつも維持するように。子供のように無邪気でいること、でも軽率でなく用心深くね。無邪気さと用心深さ、そして平和と自衛の難しい均衡を保つように。

それからあなたたちの幼い精神が、周囲を取り巻いている悪意に支配されないように。だって、その精神を維持することが、あなたたちとあなたたちの世界を救うことになるんだから。

いたるところであなたがたを待ちぶせている悪から目をそ向けたり、騙されたり弱められたりすることのないように、救われるために必要な均衡を維持するように。それらのために必要なのは”足は大地に、理想は高く、心には愛を”なのよ」

「今日は、もうこれで十分だよ、ママ。もし、このままアドバイスを言い続けたら情報中毒になって、今までのことまでみんな忘れちゃうよ」
とアミは上機嫌で言った。

「私、この子たちに感動するわ。素晴らしいことよ、暗闇の中で生きている数百万の魂に奉仕できるなんて。本当にとっても大きな特権だわ!」

「うん、ママ。でも未開世界のことを思い出して・・・毒虫やクモや蛇やマンバチャ・・・。これらは有史以前のものだよ。

それに、覚えている?拷問や銃や機関銃、そして沢山の人命を奪う原子エネルギー、破壊された自然や汚染された環境、餓死する人たち、現状を全く理解できないで眠っている人たち、偉大な、だけど愛に対してはほとんど無知な知識人たち」

「それにテリ」
とビンカは不愉快そうに言った。

彼女にとって諸悪の元は全てテリにあった。

「そのテリって?」

「キアの進化過程にブレーキをかけている人たちだよ、ママ。テリに相当する人たちはどこの未開世界にもいる・・・もちろん、全てのテリが恐ろしい人ばかりとは言えないけれど・・・」

「ああ、思い出したわ。それに前に言ったこともね。そうだとしても、やっぱり素晴らしいことよ。ひとつの人生を奉仕のためにささげられるっていうことはね。しかもそれが本当に必要な世界に」

「でも、ママ、この生まれ変わりの奉仕の人生は、”文明世界”のことをみな忘れて、愛の重要さまでも忘れての奉仕だっていうことも思い出してね。

そのうえ、子供のときから、間違った教育や悪い習慣や迷信を教えこまれるんだ。それらが障害になって、ますます下に堕ちていきかねない、とても危険な使命なんだよ」

「そのとおりね。もし、十分な強さが無かったとしたら、とても危険ね。注意してね。でもいつも愛にしたがって行動していれば脱線するようなことはないわ」

アミは別の問題にうつろうとしていた。

「これでもう、僕のお母さんをきみたちに紹介したわけだ」

「アミのお母さんって、本当に小さな女の子にしか見えないけど、話しはじめると、全然違うのね」
とビンカが言った。

「外見だけで判断しちゃダメだよ。僕のお父さんにも会ってみたいかい?」

「もちろん」
とふたりとも言った。きっとアミのような男の子がもう人り出てくるんだろうと思った。

「ええと・・・スクリーンで見つかればいいんだけど・・・ママ、最近見た?パパを」

「私たち、毎晩話しているのよ。今、キリアにいて新しい脳波のコンデンサーの実験をしているのよ」

「じゃ、きっと研究所にいるよ。僕のお父さんは科学者なんだよ」
アミが僕たちに言った。

「私たちはみな”科学者”よ。あなたがたもね。生きる科学を研究し実践しているのだから」
とアミのお母さんがつけ足した。

「やあ、パパ」

アミが横のスクリーンにあらわれた男の人に言った。ビンカも僕も冗談かと思った。どうしてって、スクリーンにうつった男の人は、アミともアミのお母さんとも似ても似つかない。

それどころか全くちがった人類だったから。青白い顔色の、ほとんど髪の毛もない大人だった。ふくれた頭部をして、深い見透すような視線をしていた。

「息子よ、元気かい。ウーム・・・そこに一緒にいる子供たちは第三水準世界の子だね。女の子はたぶん、水晶の蝶の二番目の惑星、男の子のほうは金の鷲の三番目の惑星の子だろう」

「そのとおりだよ、パパ」

「僕の惑星は地球といって、僕たちの太陽は金の鷲なんて言わないけど・・・」

「”親交世界”では、宇宙の全てのものに名前と特別なコード番号をつけたカタログがつくられているんだよ」(訳注:〈神は星の数を数えその全てに名をつける〉詩篇147章4節)
とアミのお父さんが説明してくれた。

「パパ、僕の友だちをこれ以上混乱させないでよ。ママがもう、かなりこんがらからせてしまっているんだから」

「全ての物や人にコード番号と名前がつけられているのを知ったからといって、べつに問題はないだろう・・・」

ビンカはおどろいて言った。
「一人ひとり全ての人に?」

「前に話した銀河系の中心にある”スーパーコンピューター”にだよ」
とアミ。

「それに”スーパーコンピューター”は、なんでも知っているって言ってたよね」
僕はアミが以前に話してくれたことを思い出して言った。

「うん。そして”親交世界”が未開世界をたえず監視している、もうひとつ別の大きな理由というのは”スーパーコンピューター”にデータを送ることなんだよ」

「じゃ、みんな”リスト”に載っているの?」

「きみたちの髪の毛の数まで数えられているよ、と言っても、警察のように監視しているということじゃなくて、保護のためなんだ。ちょうどお兄さんやお姉さんが弟や妹を見守っているような感じだよ」

「私、そうしたことはみんな神がするのかと思っていたわ」
とビンカが言った。

「神はなにもしないよ」
アミのお父さんが、きっぱりと言い切った。

まるで異端者から話を聞いているような錯覚におちいった。アミは僕たちの反応を見て少し笑ったあとで、こう言った。

「もし、豊かな収穫を望む農民が、畑に全く種もまかなければ水も肥料も与えず、ただ神に祈ることだけに専念したとする。いくら祈ったにせよ、これでなんらかの収穫が得られると思う?」

「ううん。その場合はなにも・・・。でも、もし種をまいて、神の助けを待ったとしたら・・・」

「もし、石を頭の上に投げたとしたら、石は必ず頭の上に落ちてくるよ。たとえ、どんなに神に祈ろうとね」

今度はスクリーンのアミのお父さんが言った。
「花の種をまけば花が手に入る。いばらを植えればいばらが手に入る」

「じゃ、神はなにをするの?」
と僕は聞いた。

「神はこの宇宙の全ての遊びを、宇宙を支配する法で持ってデザインし、全ての物や魂に、基本的なエネルギーである神の愛の精神をそそぎこんだんだよ。でも、そのあとのことは、神ではなく我々自身がしなくちゃならないんだよ」
とアミは説明してくれた。

「じゃ、どうして神は戦争や不正を許しているの?」
とビンカが聞いた。

「神が許しているんじゃない」
とアミは言った。

「じゃ、誰なの?」

「戦争や不正を生み出し、そして、それを許しているのは神ではなく、きみたち自身だよ」
アミは答えた。

なんとか、アミの言ったことへの反論をこころみようとしたが、全くできなかった。アミの言うとおりだと思った。

僕の世界で何度も何度も繰り返して聞かされていることの疑問。多くの人が”天罰”とか”神のくだした罰”とかを言う。でも、僕には、アミの説明のほうがずっと信じられる気がした。

とくに”神はなにもしない、なにかしなくてはならないのは僕たちのほうだ”ということは、とてもはっきりと理解できた。

ビンカは、僕も疑問に思っていたことを質問した。
「でも、アミ、どうして彼がアミのお父さんなの?全く別の惑星に属している人のように思えるけど」

「そのとおりだよ。僕はここで生まれ、お父さんはキリアで生まれた」

「じゃ、全く違った世界の者どうしの夫婦なんだね」

「そうじゃない。きみたちが今、見ているのは、新しい肉体を持った僕のお父さんなんだよ。僕が生まれて少ししてから、彼はキリアに生まれ変わる用意ができた。そこで古い肉体を捨てて、キリアに新しく生まれ育って、今は科学者になっているんだ。

きみたちが今見ているようなかたちでパパとママはお互いに連絡を取り合ってね。僕のお父さん、今度は僕よりもかなり若い・・・」

「私よりもね」
とアミのお母さんが言った。

「私、まだ今のキリア人としての彼の容姿に十分慣れていないの。たとえ中身は全く同じ人だとしてもね」

ビンカは、今はそれぞれが別の人と結婚しているのかどうかを聞いた。ふたりともその質問におどろいて、思わずお互いに顔を見合わせた。どうしてそんな質問をするのか信じられないといった顔をして息子を見た。

アミはいつものように笑って、こう言った。
「パパもママも、未開世界では双子の魂どうしで結婚するというのはきわめてまれだということを忘れているようだね。離婚は当たり前のことだし、不貞をしたり、一生のあいだに何度も結婚したりする。

そのうえ、彼らは、もしふたつの互いにおぎなうべき魂が出会ったときどうなるかということも、全く知らないでいるんだ。だからビンカがそう聞いたんだよ」

「その場合はいったいどうなの?」
僕は聞いた。

「別の人とは一緒になれないんだよ」

「どうして?なにか法で禁止されているの?」

「そう、愛の法で。でも強制されたものじゃない。ただ、全宇宙のすみずみまでさがしてみても、双子の魂のかわりになる人は、誰もいないんだよ」

ビンカは僕を見た。僕たちは十分すぎるほど納得した。

アミのお父さんはスクリーンを通して別のスクリーンにうつっているアミのお母さんを見て言った。

「ところで、いつごろキリアにくるのかね。毎日、精神的には一体だけど、肉体的にも一緒にいたいものだよ。家庭をつくって、僕のそばにいつもいてほしいよ」

アミのお父さんの声はとても優しく、その視線は暖かい愛情に満ちていた。

「私も、なににもまして、あなたのそばにいることを望んでいるの。でも、キリアに生まれる水準にまだ私の魂が順応できていないのよ。

もし、今の身体を捨てたら、あなたの世界じゃなくて全く別の世界に生まれてしまうわ。

だから、いつもキリアに行けるように修練をおこたっていないの。たぶん、もうほんの少しよ。だから、細胞の若返り維持はもう放乗したの。お互いにあと少しのしんぼうよ」

ふたりの会話は、こんな感じで数分間つづいた。お互いの愛情をあまりにオープンに表現していたので、僕は、その場にいるのが少し気はずかしい感じがした。

そしてなんだか、自分があつかましい侵入者のような気がしてきて、じっとうつむいていた。
ビンカは、ふたりの会話に目に涙をためてうっとりと聞き入っていた。

彼女が僕を見た。そのとき、僕はとても深い感動を覚えた。と同時に、アミの両親の気持ちがやっと理解できた。ふたりのとても美しく、深く、かたいきずなを僕とビンカも一緒に分かち合っていたのだった。

「それこそ、まさにお互いの魂がおぎない合うということを意味しているんだよ」
アミは、僕たちふたりの内面に起きたことをキャッチして言った。

「それ、どういうことなの?」
と僕。

「彼女はきみの不足しているものを、きみは彼女に欠けているものを持っているんだよ。ふたつが一緒になることによって、完全な人間となるんだ」

「僕が、彼女に与えられるものって、なに?」

「きみは彼女の知性を活発にさせ、彼女はきみの情緒を目覚めさせることができるんだよ・・・。さあ、もう時間だ。行かなくっちゃならない」

「でもアミ、きみの世界をもっと知りたいよ・・・」

「もう僕の惑星の”外部”のいくつかは見ただろう。僕の両親にも会ったし、僕の村も見た。きみたちの惑星の人々がきみたちを待っているということを忘れちゃダメだよ」

「その外部、ってどういうことなの?なにか他にもあるってこと?」

アミはほほえんだあとで言った。
「地球では宇宙に向かって数百万キロもの距離を旅することができるようになった。でも、
ほんの数キロメートル皮膚の下、地球の内部のことがどうなっているのか、全く知らないでいる。これと同じことが人々にも言えるんだ。

いつも人々は自身の外部ばかりを見ようとしている。決して自身の内部を見ようとしないんだ。いつも、自分に起こるよくないことの責任や原因が必ず”他の人”にあると思いこんでいる。内的存在を全く知らないでいるんだ。決してそれに注意をはらおうとはしない。

でも自分の運命をつくり出しているのは、自分の中のその”存在”なんだよ。そのことについてはいつか話してあげるよ。

きみたちの世界は今、永遠の破滅寸前だ。さしあたって、まず第一に優先しなければならないことはきみたちの惑星を救うことだ。

それが終わったら、今度は子供たちに十分食べ物が行きわたるようにし、戦争が決して子供たちをおびやかすことがないようにする。そうなったときはじめて、存在や宇宙や精神や科学について深く堀下げて考えるゆとりが生まれる。

今の時点では、もっと人間的な世界につくりかえるのにはもうすでに知っていることを実践するだけで、十分なんだよ。

このより人間的な世界を手に入れるための戦いに協力しないのは、その理由がいかなるものであれ、たとえ精神的なものであっても、エゴイズムのあらわれでしかない。つまり共犯関係にあるということなんだよ」

アミのお父さんが息子の言葉につけ足して言った。
「そう、だって”精神的(霊的)なもの”とは全て愛である内的存在のことを言うんだからね。愛ゆえに、他人の苦悩に対して冷淡をよそおっているわけにはいかないんだ」

「だから、精神性(霊性)とは、ただ、愛それだけを意味しているんだよ」
とふたたびアミ。

「そんなわかりきったことまで、わざわざ言う必要があるの?」
アミのお母さんが言った。

「それが、未開世界ではそんなにわかりきったことじゃないんだよ、ママ。沢山の人が、精神性(霊性)をただ複雑な頭脳訓練のことだけだと思いこんでいるんだ。

そしてまた別の人にとっては世の中に背を向け、苦しみの修行をしたり、禁欲したり、身体を浄化したり、祈り続けたり、なにかの信仰を持ったり・・・でもただそれだけなんだ。

いくらそんなことをしても、もし愛を忘れていたとしたら一文の価値もない。

もし、愛があるならそれらを無欲な奉仕に変えるべきなんだよ。今、きみたちの世界は絶滅の危機に瀕している。平和と統一のために働くこと以上に価値のある仕事はないんだよ」

僕は遠い別の世界にいて、こうして宇宙人から教えを受けることができ、また宇宙の基本法を知って、地球に奉仕することができる特権をもたされていることを、とてもありがたいと思った。

彼らと話をしていると、まるで自分が彼らの一員のように、ほとんど彼らと同じように進歩している感じがした。

そして、これから帰らなければならない地球や僕を待っているいとこのことを考えたら、なんだか自分が彼らより一段階上にいるような感じがした。

そう考えたとき、アミが言った。
「完成に向かう道で、打ち負かさなければならない最後の敵は、全ての中でもっとも腹黒い。その敵を見つけるのは簡単じゃないんだ、カモフラージュしているからね。

ちょうど、あの地球の動物のように・・・エーと・・・なんて言ったかな?自分の身体の色を周囲の色と同じように自由に変えて、じっと動かずにいる動物・・・」

「カメレオン!」
と僕はそくざに答えた。

「ああ、それそれ。それと同じなんだよ。最後に克服しなければならない欠点は、ちょうど、そのカメレオンみたいなやつなんだ。

それは精神的高慢さ、あるいは精神的エゴという、進化の道をかなり進んだと感じている人を襲うとてもやっかいなものなんだ。とても見つけるのが大変なんだよ。でもその方法がひとつだけあるんだ」

「その方法って?」

「誰かに対して、軽蔑を感じるとき、その人のことを”精神的にあまり進歩していない”とさげすむ気持ちをいだくたびに、見つけることができるんだよ。

まさに、そこにひそんでいるんだ。精神的エゴは、ともすると自分を進歩しているかのように錯覚させるんだよ。

そして微妙に他人を軽蔑するようにさせる。でも真実の愛は誰も軽蔑しない。ただ奉仕することを望むのみ。そこにとても大きな違いがあるんだ」

「じゃ、その精神的エゴを沢山持っている人は、その分だけ軽蔑に値するの?」

僕は、学校の同級生で、ミサにあまり行かない友人をいつも非難して、自分が聖人だと思いこんでいるヤツを思い出して質問した。

アミはそれを聞いて笑い、彼のお母さんは優しく僕を見て、ほほえんだ。でも、ビンカも僕も、僕の言った言葉のどこがおかしいのか全くわからなかった。アミのお父さんは輝いた目で、親しみをこめて、僕をしっかりと見た。

なんだか、はずかしくなった。
「僕、なにか悪いこと言った?」

「いいかい。”人を軽蔑する人は軽蔑に値する”。それはちょうど、殺人を犯した人は殺すべきだとか、盗みをした人から盗むべきだとか、貧しい人たちには貧しさで持って罰するべきだとか、無知に対しては無知を、とかと言うのと同じなんだよ」

なにが言いたいのか、はっきりわからなかった。

「ペドゥリート、愛は誰も軽蔑なんかしないよ。たとえ精神的な虚栄心を持っている人でもね。愛は理解力があるんだ。奉仕することに努め、他人を非難しないようにすることだよ。

ちょうど父親が子供の小さな欠点を非難しないのと同じようにね。精神的な虚栄心は”700度”の段階に辿り着くための、ひとつの段階にすぎない。それにきみのなにが、他人の精神的エゴを批判していると思うの?それこそまさにきみの精神的エゴじゃないのかい?

もし他人の非難すべき欠点を、克服できる欠点と見ることができるとき、きみはもう綺麗な身になっているよ。誰かに対して非難するようなものを持っている限り、まだまだ綺麗じゃないんだよ」

ビンカがそれに異議を唱えた。
「でも、テリは本当に非難されるべきよ。私たちスワマはただ平和に暮らすことだけを望んでいるっていうのに、彼らの野心やエゴや暴力や不正のせいで、キアは破滅寸前だわ。どうしてそれを非難することがいけないことなの?それともほめてやれとでも言うの?」

「テリや精神的虚栄心を持っている人は、完成の過程において、上のほうにも下のほうにも多く見かけられる。我々はみな、人生という名の学校の生徒だ。もし新しい世界をつくりたいなら、過去のあやまちを罰することをしていないで、新しいよりよい解決法を提出して、実現のために戦うべきなんだ。

こうやって救済された世界が全て”親交世界”に入ってこられる。でも、たぶんビンカにとっては、テリをキアから消してしまったほうがずっと納得できることなんだと思うけどね、そうだろう?ビンカ」
とアミは笑って聞いた。

ビンカはアミに自分の考えていた本音を見すかされて赤面した。

「また別の”目には目を”だ」
とアミが笑って言った。

ビンカは抗議して言った。
「でもテリがいる限り、平和な世界はつくれないわ。彼らがそんなことを許さないし、不正な人が沢山いる限り、正当さを土台にした社会なんかつくれっこない」

ビンカのはげしさは逆にアミの笑いを誘った。

僕は彼女のたくましさに感心した。こうやって少し怒っているビンカもまた、かわいいと思った・・・。

「キアは地球と同じくちょうど第三から第四の進化水準に移り変わる時期にある」
とアミ。

彼のお父さんが話を続けた。
「第一水準の世界というのはまだ生命が誕生していない。第二水準はもう生命は誕生しているけど、人類はまだいない。第三水準になって、人類があらわれる。この水準が今、きみたちのいる世界だ」

「じゃ、第四水準ってどんななの?」
と僕は開いた。

「その世界では、人類は統一されてひとつの大きな家族をつくり、宇宙の原理にそってみんなで生きていく。でも、全ての世界がここにいたる試練を、うまくくぐり抜けられるわけじゃない。それを試みる途中で自滅してしまう世界も少なくないんだ」

「なんの試練?」

「第四水準に入るために、それぞれの世界の人類が乗りこえなければならない試練だよ。ある人たちは、その試練をくぐり抜けることができるけど、別の人たちには、くぐり抜けられないようにできている。それはひとつの選択であり、淘汰なんだよ」

「それとテリみたいな不正な人たちと一緒に、平和な世界をつくることは不可能だってことと、どういう関係があるっていうの?」

「ひとつの惑星が、ある段階からその上の段階に移ろうと試みるたびに、それ以前には全く知られていなかった現象が引き起こされるんだよ」
とアミが話しはじめた。

「それはちょうど世界全体をゆさぶるような、あくびをして伸びをするような感じだ。それが新しい、より繊細で高いエネルギーと振動を生み、これらの放射がさらに二重の効果を生む。

ひとつはある人たちを狂気におとしいれる。低い進歩過程にいる人たちは最終的に命取りになるようなミスを犯す。ネガティブな人たちは、こうして自滅していくんだ。

また、一方ではこの新しいエネルギーは上の水準へ昇ることを可能にしてくれる。それは、自分の進化にそぐわなくなった、有益でなくなった自分の子供たちを惑星が手ばなすようなものだよ。

あの巨大な恐竜や食肉植物がどうやって世界から消えていったのかわかる?それはまさに人類があらわれたそのとき、つまり第二水準から第三水準に移り変わるときだった。

理論的にはもっとも強いものが生きのびることになっている。たしかに恐竜は一番強かった。にもかかわらず、全滅してしまった・・・」

アミの説明には、とても興味をそそられた。

「でも、どうして全滅してしまったの?一番強かったのに・・・」

「うん。爪や牙や筋肉は強かった。でも、知性のほうがそれよりもすぐれているからね。人類は肉体的にはずっと弱かったけれど、知性においてずっと勝っていた。強いほうが生きのびたんだ。今、また同じ過程がくりかえされるよ。今度は、筋肉よりも、知性よりも強いものが生きのびるよ」

「えっ、それって、なに?」

「精神の力(霊力)さ。愛だよ。それ以外はみな恐竜と同じような運命をたどる。平和を求める力が一体となったとき、それはきみたちの世界でもっとも堅固な力となるんだ。

これはたんに、きみたちの文明を絶滅から防ぎうる力が他にないからにすぎない。ビンカ、あまり悲観的にならないで。愛は必ず勝利を手に入れるよ。だって愛は宇宙最大の力なんだからね」

>>>「もどってきたアミ」第17章 アミの真実の姿

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