宇宙人アミ

「アミ 3度めの約束」第9章 シャンバラ

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第9章 シャンバラ

いったん、円盤の中へもどり、落ちついたところで、アミは僕達を最後に海岸の家へつれて帰る前に、ただたんに見せるだけでない、とても重要なところへ案内すると言った。

そして、それはこれまでの全ての旅で見せてくれたものの中で、いちばん重要なものだと言ったので、当然僕は、今までとは全く違った世界へつれていってくれるものと思った。

だから、窓の外に大きく僕の惑星が見えてきたときには、思わずこう言った。

「アミ、でもこれ、地球じゃないか・・・」

「そうだよ。あそこに君たちにぜひ見せたいものがあるんだよ」

「ウーン・・・、でも、もうきっとそれほどめあたらしいものじゃないね・・・以前、海の中にある文明を見せてくれるって言っていたけれど、それ?」

「いや、そうじゃない。でも、そこへは今度キアヘビンカの原稿をもっていくときにつれていってあげるよ。地球のじゃないけどね。それから人工の惑星にもね。それから・・・」

「どうして人工の惑星をつくったりするの?」

アミの話の腰を折ってビンカが質問した。

「どんな太陽だって、いつか”死ぬ”時がやってくるんだ。そのときには、爆発して自分の惑星全てを燃やしてしまう。そうなる前に、その惑星の住人たちはおおぜいまとまって避難しなければならない。そのときのために人工的に惑星をつくって置いてあるんだよ。

そして巨大な宇宙船のように、別の太陽の軌道に乗れるように、操縦して・・・。でもそれはあとで見ることにしよう・・・ああ、それから、もし君たちが行きたいなら、過去にもちょっとだけつれていってあげよう。

でも、そういうものよりもこれから見るもののほうが、君たちにとってはずっとずっと重要なんだよ」

円盤はゆっくりと下降をはじめ、ヒマラヤ山脈の上空を進んでいった。そして突然、切り立った岩山のひとつに向かって、すさまじいスピードで近づいていった。

僕は直ぐに、サリャ・サリムやエクシスの時みたいに、硬い物質の中をとおりぬけて地下へ行くんだなってわかったから、怖くはなかった。

でも、ビンカときたら、衝突するって思った瞬間には、やっぱりいつもどおり、ギュッと目をつぶっていた。

今回僕は、岩の中をくぐりぬけていくときに、窓の外になにがあらわれるのかを知りたくて、目をこらしていた。でも、なにも見えなかった。

ただほんの一瞬、なにか黒いものが見えただけで、そのあとには直ぐ、大きな都市が目の前に現れた。

「我々はまた、文明世界の領域に入っている」

アミの声は元気だ。僕はまた、サリャ・サリムやエクシスの時みたいな超モダンなものが見られるのかと思っていた。でも、全く違っていた。

目の前の都市は、儀式かなにか、そんな感じのことを行なうところのような印象を受けた。

だって、窓の外にひろがるのは、小さな半円形の家々ばかりの白い都市の風景で、そのほかには、巨大な球形の白い建物だけが、都市の中心部に堂々と美しい姿を見せていたからだ。

それ以外には、大きな建物は全くなかった。その光り輝く球形の建物は、地球でいうなら赤道にあたる部分を、四本の”腕(やや曲がった支柱)”で支えられ、おしりの部分を地面につけている格好だった。

これは、この地底基地の最も重要な建物だということだ。沿道に木々や草花が植えられた四本の大通りが、四方からその建物に向かって伸び、それぞれの支柱の前で終わっていた。

沢山の円盤と沢山の人々が行き来しているのが見えたけど、全体が大きな調和と平安につつまれているように思えた。

「この基地はシャンバラっていうんだよ」

「シャンバラ!僕、その名前、どこかで聞いたことがあるよ・・・たぶん、歌かなんかで・・・」

「そうかもしれない、ペドゥリート。だって、シャンバラはアガディールとかアガルティと同じように、古い言い伝えの中に語られているしね。エル・ドラードやシャングリ・ラなんかは、さほど知られていないけど」

「どうして秘密の基地なのに、古い言い伝えの中には出てくるの?」

「言い伝えの多くには、人類が叡智の道をたどるための真実が、そうとはわからないかたちで隠されているんだよ。我々自身意識的に、言い伝えの中にその証拠を残したりもした。

おとぎ話めいているけれど、ほんとのことのようでもあり・・・ちょうど君たちが書いている本みたいな感じにしたんだよ・・・」

これ以上のうまい説明があるだろうか?

「じゃ、これからあの球形の建物の近くに着陸しよう。あれは研究所なんだよ」

「研究所?僕は競技場かと思っていたよ・・・」

「いや、そうじゃないよ、ペドゥリート。むしろ寺院とでも呼んだほうがいいかもしれないね。だって、あそこでやっているのは、寺院のなかでおこなわれている仕事とよく似たところがあるんだ。

つまり、もっとも高い水準の、精神的で霊的なエネルギーを発生させているんだよ」

僕には、それが寺院の目的だとは、とうてい思えなかった。僕の考えをキャッチしたアミが言った。

「いっけんそう思えるけど、地球の視点から離れて、つまり個々の宗教システムにとらわれない視点から考えると、寺院の目的は、やっぱりそれにつきるんだよ。たとえていうなら、電気のようなものだよ。

だって、それが原子力発電所からこようと、風力発電所からこようと、水力発電所からこようと、電気がつけば、電力がどこからこようと、たいして重要なことじゃないだろう」

「ああ、なるほどね」

「じゃ、下に降りる準備をしてね。会ってほしい友達がいるんだ」

この都市には神秘的な雰囲気が漂っているのを、僕ははっきりと感じた。

「そのとおりだよ、ペドゥリート。ここのエネルギーがちょっと違っているのによく気がついたね。そう、より高くて繊細なんだ。

なぜならここが、地球の重要な霊的中心地のひとつだからだし、君が自分の内的な感覚に注意をはらっていたからでもあるんだよ」

「それ、どういうことなの?アミ。この都市はサリャ・サリムとは違うの?」

「違うんだよ、ビンカ。未開世界には、目的ごとに違った基地があるんだよ。たとえば、サリャ・サリムはキアの社会と政治の進歩に関して監督しているけれど、それとは別に、生物の進化に関して監督していたり、文化や科学技術の発展を助けたりしている基地もある。

地球人類の精神の進歩を監督する仕事は、ここシャンバラが中心になっているんだよ」

寺院は、ダイヤモンドかガラスのようなもので出来た、巨大な板石のまん中の上に建っていた。僕達の乗った円盤は、宇宙船専用につくられたパーキングではなく、そのキラキラと輝く大きな宝石の上にとまった。

「ここは水晶でできた、この惑星最大のプラットホームなんだよ。とても繊細な働きをする水晶で、脳の振動を集中させたり、増幅させたり出来るんだよ。

ここにいる人達もやっぱり、地球人類が精神や脳で高い振動を生みだせるように、いろいろと仕事をしているんだ。そういったエネルギーは、ここから地球のあらゆるところへと送られているんだよ」

僕達は例の部屋で全身を”消毒”してから、円盤の外に出て、寺院に向かった。

建物を支えている四本の腕の側面には、細いふちのようなものがついていて、よく見るとそれは、右側は上りの、左側は下りのオートマチックな階段だった。そして、球体の赤道部分にある建物の入口まで続いていた。

僕達はそのひとつを上りはじめた。でも、階段の幅は1メートルもなかったし、それに手すりもついていなかった。

上にいくにつれ、その高さに圧倒されて、めまいを起こしそうなくらい緊張したので、僕は出来るだけ壁にはりつくような姿勢をとることにした。

直ぐ前にいたビンカが、僕をふりかえった。肝をつぶしたような顔で、今にもひざをついてしゃがみこみそうだった。僕は彼女をうしろからかかえて支えてあげた。

「ビンカ、下を見ちゃダメだ。大丈夫だよ。落ちついて、内面の均衡(きんこう)を保つようにしてごらん」

とアミが言った。アミの言うとおりにして、ビンカは少し落ちつきを取りもどした。

あの階段は、とっても危険だと思った。もしあの高さで、本当にめまいでも起こしたら・・・それでもう、ハイ、サヨウナラ・アディオース。手すりをつけないなんて、全くおろかだとしか思えない。そうじゃなければサディスティックなんだ。

「この中では精神的な、霊的なエネルギーを高揚させる仕事をしている。そのエネルギーの質は、我々の身体と精神状態で決まるんだ。

ここまで上ってくるのに、心や身体のコンディションが十分でないのがわかれば、中に入ったところでしかたがない。だって、高い霊的エネルギーを放射することができないからね」

アミの言っていることはいちおう理解できたけど、たとえばそれが、僕のおばあちゃんみたいなひとだったらどうなるんだろうって思った。

おばあちゃんはあんなに善良で精神的だけれど、きっと怖がって上れないだろう・・・。そう考えると、ちょっと差別的な感じがした。これはフェアじゃないよ。

勿論アミは、僕の思っていたことを”聞いて”いた。

「たしかに彼女はとても善良だし、精神的なひとだよ、ペドゥリート。でも、それとはまた別の話なんだ。ここで働いている人達は、地球人類にたいして大きな責任を負っている。

だから仕事をするときには、自分の心や身体のコンディションをベストの状態にしておかなければならない。この階段はそのためのものなんだ。この階段を昇れば、自分で自分のコンディションを”測定出来る”んだよ。

もし上っていく途中で気分が悪くなったりしたら、その日はいったん上りきったあと、中には入らずにそのまま帰って、あらたにベストコンディションの日を待てばいい。

頭と身体の状態がよければ、すこやかな精神状態は保証されている。我々の身体っていうのは、我々の魂の状態を三次元化したものなんだからね」

今度はよく理解できた。別に差別してるわけじゃなくて、”プロフェッショナルな精神”はいつも高い水準にあるべきだってことを、アミは言っていたんだった・・・。

階段を上りきって、研究所(寺院の入口)までたどりついた。

「静かにね。それから、敬意をはらうことを忘れないで」

僕達は言われたとおりにした。中に入ると、灌木と草花のあるテラス、らせん階段なんかがあったけれど、とりわけ目をひいたのが、沢山のイスが設置された広いスペースだった。

イスから見おろすスペースの中央部分には、水晶の板石が敷かれていて、その板石の上には、ライトアップされた美しい祭壇があり、オベリスク(訳注:方形で、上にいくにつれて細くなっていき、先端はピラミッド形をした柱のこと)のかたちをした二メートルほどの高さの石が、七つも立っていた。オベリスクようの石は、一つひとつ違った色をしていて、宝石のようにまばゆく光り、とってもきれいだ。

そのうちのひとつ、紫色をした石のまわりを、白い服に頭巾をかぶった一団が、円を描くようにしてかこんでいた。その紫色の宝石は、三角形のダイヤモンドのように輝いたガラスの台の上に乗っていた。

「あれは、純粋なダイヤモンドだよ、ペドゥリート。あの頭巾の人達は、霊的振動をよりよく伝えるために、ダイヤモンドから巨大な水晶の板石をとおして、地球人類の魂にむけてエネルギーを発しているんだよ」

頭巾をかぶっていないひとも、大勢いた。大部分のひとは、赤銅色の肌をした人種の人達で、三メートルもあるオフィルの人達ほどではなかったけど、僕達よりははるかに背が高くて、二メートル前後はあった。

頭は僕達よりも大きく、身体はほっそりしているのに、筋肉や骨格がしっかりと発達している。男の人達の体毛は薄く、女の人達の身体は、地球の女の人みたいな曲線的な身体つきではなくて、もっとずっとやせていた。

顔には一本のしわもなかった。まるで整形手術かなんかで、うしろから皮膚をギューッと引っ張ったみたいだ。とても大きな、そしておだやかな瞳をしていて、その色がさまざま(黒、茶、灰色、緑、青、その中間のような微妙な色合い)なのは、地球人とおんなじだった。

わずかにカールのかかった金髪や栗毛を、男女ともにとても短くしている。そしてみんな、えりなしのゆったりとした服を身に着けていた。見渡したところ、地球人はどこにもいなかった。アミはちょっとほほえんでから、小さな声で言った。

「ここには沢山の地球人がいるよ・・・」

ひょっとして、下のほうにいる頭巾をかぶった人達の中にいるかもしれなかったけど、はっきりと目に見える範囲では、僕にはひとりも確認できなかった。

彼らは腕を上げて、歌っているのか祈っているのかはわからなかったけど、とにかく息長く声を出していた。
声と雰囲気のあまりの美しさに、ビンカはすっかり心を打たれた様子で、うるんだ瞳で僕を見た。僕も、あの場のとっても奇妙な振動に、鳥肌が立ってきた。

「二人とも、そんなに感動しないでよ。これから、あそこまで降りていかなくっちゃね」

僕達は、紫の石をとりかこむ人達のいる直ぐそばの水晶の敷石まで降りていった。アミは横にある扉のほうへ、僕とビンカを案内した。

中に入ると、さらに下の地下室へと続く階段があって、それを降りていくと、明るく照らされた廊下に出た。僕達は廊下をまっ直ぐに進んで、左側の広間に入った。

そこでひとりの男のひとが、僕達を待っていた。講演用の机のそばに立っていたのだけれど、とても背が高い。やっぱり地球人じゃなくて、さっきの人達と同じ人種だった。

親愛の情のこもったまなざしで僕達を見つめ、サリャ・サリムの偽テリたちと同じ、右腕を肩の高さに水平に伸ばし、僕達に手の平を向けるしぐさで挨拶をしてきた。

「シャンバラへようこそ。私の名前はシルクです。そして私が、この研究所でおこなわれているいろいろな活動をコーディネートしています。どうぞ、座ってください」

僕達がすすめられるままに腰をおろすと、彼も座った。シルクを見ているうちに、僕は前の旅で会った、地球”救済計画”の全てを指揮しているという司令官のことを思いだした。でも彼にくらべると、このひとは外見上は僕達に近かった。

「でも、司令官と同じ惑星の人種だよ」
とアミが教えてくれた。

「ああ、どうりで直ぐに彼のことを思いだしたわけだ」

「彼は、私達の民族の中でも、その魂がもっとも多くの光に包まれているひとりなんだ。なにか質問はあるかね?君たち」

司令官のことを話すときのシルクの口調は、尊敬と感動に満ちている。僕は何を質問していいのかわからなかったけど、ビンカが質問した。

「あなたはどの惑星からきたのですか?」

アミもシルクも笑った。僕はどうして笑ったのか聞いてみた。

「ビンカの質問が、あまりにも核心をついていたからさ。おかげでシルクは、まわりくどいこといっさいなしで、ダイレクトに本題に入れる。でもその答えに、君たちは驚くことうけあいだ・・・」

そう言われても、ビンカは信じなかった。

「私達、そんなに驚かないと思うわ、だってもう、遠い惑星に生まれたいろんな宇宙人に会うのには、なれちゃっているもん」

「私は宇宙人ではなく、地球人です」
とシルクはいたってまじめに答えた。

「エエーッ!?」

小さな宇宙人は僕達の様子に笑いながら、こう言った。

「一回めの旅は、君たちにとって第一段階”A”にあたっていた。”宇宙生命”というテーマに置いてね。二回めの旅は”B”であり、今回のは”C”なんだよ。勿論、君たちの書いた本を読んだ人達にとっても、それはおんなじなんだよ。

このテーマに関して、だんだんグレードアップしてきているんだ。いいかい、これからシルクが言うことを、心して聞いてよ。”ダイナマイト100パーセント”だ・・・」

「ここは私の世界なんだ」
とシャンバラの人は説明をはじめた。

「私はここで生まれた、何代もの私の先祖たちと同じように。そして君たちがすでに目にした私に似たあの者たちも、みんな地球人なんだよ・・・」

エッ!あの人達が地球人だって?だってあんなに進化してるのに?・・・しかも僕達の地球に、何代にもわたって生き続けてきてるなんて!・・・たしかにアミの言うとおりだった。驚きなくして、シルクの話を聞くことはできなかった。

「でも、ここにきている兄弟たち全員が、ここで生まれたわけではない。ここには一時的に滞在している者もいる。彼らは、私達が大昔にあとにした、遠い世界からきているんだ」

シルクは休むことなく、長いこと話し続けていたけれど、彼の言ったことを要約して書いていこうと思う。

彼が地球人だということを知って驚いたのはたしかだけれど、続いて彼が語ったことにたいする、もうほとんど底なしといっていいくらいの驚きに比べたら、たいしたことじゃなかったって、僕は断言出来る。シルクはひとつの例を出して話しはじめた。

“君たちのような世界に住んでいる人達の中で、砂漠とか人を寄せつけない寂しいところへ、自分たちの家族をひきつれて移り住んでいく人達がいる。

彼らはまず、その地に水をひき、穀物の種をまき、動物を飼育し、子供を増やしていく。

そして、労力と時間をかけて、住めるような場所をつくりあげていく。もっと後になってから、その近くに別の家族が住みはじめる。

だんだん人が増えてきて、村ができ、町が、そして都市が出来る。以前には全く何もなかったところに、沢山の人が住める都市をつくりあげた。彼らは開拓者たちだよ。

そうして、国家ができあがってくるにつれて、政府は、たいてい人の全く住んでいない地区の開拓を進めるために、資金を出して開拓者を援助したりするものだ。

国は大きくなればなるほど、もっともっと大きくなろうとするものだからね。これは人生に、人間の心に内在している傾向だよ、より大きく、よりひろがるように、より多く手に入るように、より完璧に、より住みやすくなるように。

それから自分たちの子孫にとっては勿論のこと、それ以外の人々にとってもますます住みやすくなるような可能性を残してあげるために。

文明世界の宇宙親交は、もっとも高い階級水準の意志にしたがって、全ては神聖なる計画のもとに、数百年もの昔から、沢山の星々に生命の種をまいてきたんだよ”

これまでアミは、宇宙親交が銀河系に生命を誕生させる任務を負っているなんてこと、いちども口にしたことがなかった。

だから、生命はひとりでに生まれてくるものだと思っていた。でも、彼は僕の考えていたことをキャッチした。

「カリブールを忘れたかい?ペドゥリート」

ああ、そうだった!二度めの旅で、アミは僕達をシリオの惑星カリブールにつれていってくれた。あそこは新種の植物を研究栽培しているところで、ほんの数人の遺伝技師だけが住んでいるだけだって言ってた。

でも、ビンカと僕が、”双子の魂”どうしだってわかったのは、まさにあそこでだった。だから、そのことで頭が一杯になって、ほかのことは全く忘れてしまっていたんだ。

シルクは続けた。

“宇宙親交は、さまざまな種の知的な人類からなりたっている文明なんだよ。その中には、ずっと古い昔から我々と同化している種もあれば、同化してまだ歴史の浅い種もある。

全ての文明が、進化したと認められるための条件を満たして、一定の基準まで達したときには、我々のメンバーとして迎えられるんだよ”

この条件については、アミがいちばん最初の旅で教えてくれた。宇宙親交の仲間入りをするには、国や国境をなくし、全ての国家や民族がひとつにまとまる段階に達しなければならない。

つまり、その惑星全体が、世界政府によってまとめられたひとつの国に変わらなければならない。でも、ここではっきりとさせておきたいことがある。

それは、惑星の独裁政府というのもひとつの世界政府といえるけれど、宇宙親交の望んでいる世界政府とはまるで別ものだっていうことだ。

本当の世界政府は、宇宙の基本法(つまり、普遍的な愛)にぴったりと適合していなければならない。

そして、それがもし実現できれば、もう不正も苦悩もなくなるから、そのときはじめて、その文明は宇宙親交のメンバーとして受け入れられるということを、アミははっきり言っていた。

“そうして受け入れられた文明は、宇宙親交の援助を受けながら進歩、発展していき、ある水準に達したときには、任務を与えられるようになる。今度は自分たちが、まだ知的生命のいない世界の生命を改良し、援助していくんだよ”

話はますます興味深くなってきた。

“任務にあたって銀河系当局は、そこで働く種にふさわしい重力をもつ、若い惑星を割り当てる。彼らは基地をつくり、それから数千年、数万年もそこに住むことになるんだ。君たちは、我々と違った時間の観念を持っている。

数百万年前、私の民族はこの世界にやってきた。最初に軌道(に乗った)基地をつくり、そして地底都市をつくった。そしてここに移り住み、そこからはっきりとした目的のもとに、生態系を改良する仕事にとりかかったんだ。

もうすでに生存していた種に変化をあたえたり、新しい種を我々の遺伝子研究所で創造したり、別の世界からつれてきた種を地球の環境に適応させるようにしたり、それから気候や海にかかわるものにも手を入れたりした。

我々の民族はもともとは宇宙からきたけれども、私をはじめ、ここにいる大部分の人達は、この惑星に何世代にもわたって長く住み続けている家系に属している。

だからちょうど、自ら切り開き、たがやし、暮らしている農場を農民が愛するように、この地球をとても愛しているんだよ。

なにより、この美しい世界は、我々の先祖やその子孫、つまり我々自身が住んでいるところだ。だから我々は、自分たちを地球人であると心から思っているんだ。我々のほうが、君たちよりもずっと長く、この地球に住んでいるんだからね”

そのとき僕は、彼らが僕達をスパイすることを当然としているのを、はじめて理解できた。だって、”侵入者”は彼らじゃなくて、僕達なんだから・・・。

ここでちょっと話を中断して、ずっとあとになってから僕の海岸の家で起こったことを書いておこうと思う。

あとになってアミが“援助(援助については前にもふれたし、このあとでも直ぐに出てくる)”をしてくれたとき、ダーウィンの『種の起源』に関する理論について知ることができた。

そしてそのとき、シルクの言ってたことを思いだして、もう少しアミによく説明してもらうことにした。

「アミ、シャンバラに行ったとき、シルクは地球の生物の進化に干渉したって言っていたけれど、じゃダーウィンの理論はどうなの?」

僕はアミが旅立ってしまう少し前にたずねてみた。

「自然の進化というのは事実だよ」

とアミは説明しはじめた。
「でも、期待している結果を生むためには、はっきりとした目的にみちびかれていなければダメだ。君たちの世界の、遺伝子研究所で進められている研究と似ているよ。

たとえば、ある種の特性を持ったリンゴとかウサギを生みだしたいと思う。でも、進化がひとりでにおこなわれるのを待っているわけにはいかない。だって、必ずしも期待しているふうになるとはかぎらないんだからね・・・」

シルクはまた話を続けた。

“そうやって、サルの進化を手助けしたんだよ。なぜなら、人類の祖先となるのはサルなんだからね。

現在の人類は、交配によって創りだされたんだよ。我々の研究所で、地球のサルの遺伝子と、よその惑星からやってきた我々の遺伝子とをかけ合わせて”

あれを聞いたときは、全身ゾッとした。彼らが僕達を創りだしたんだ!・・・自分たちの遺伝子を使って!・・・。

“そして新しく誕生した人類がちゃんと生きのびていけるように、ウマだとかラクダだとかゾウだとか、ニワトリやイヌといった、あとあと人類の役に立つような動物たちを創ったり改良したり、米や麦やトウモロコシや、いろいろな果物を創ったりしたんだよ”

ビンカと僕は、シルクの説明を聞いてぼうぜんとした。キア星でも、事情はだいたい同じだった。ただキア星の場合は、別の惑星の人種(僕達の友人の偽テリたちが属している、サリャ・サリムに大勢いた人種)から人類が起こったんだって、アミは言った。

シルクは続けた。

“現在の人間は天と地の子であるんだよ。だから、ときには人間以下のようになり、ときには超人間的になる。動物的な本性と星の本性とが共存しているんだ。

それを聞いて僕は、多くの疑問が解けた。

そのあとでシルクは、今までの話を要約しようとした。

“地球の人間を創造した目的は、新しい種の人間を創り、のちに、その人間が親交に入れる水準まで進化したときに、それに協力出来るようにしてもらうためだ。

君たちが考えるように〈宇宙大戦争〉に協力してもらうためではなく、数えきれない文明化のための仕事や銀河系生命の改良に協力してもらうためなんだよ。

ひとたび同化してしまえば、宇宙親交から科学的、技術的、精神的な援助が受けられる。そうするともう、苦悩や不安や死を永遠に過去のものとすることが出来るんだよ”

こうして、まるで目からウロコが落ちるように、全てが理解できた。

アミがやってきたこと、僕が本を書いたこと、”救済計画”、宗教の本当の意味、そのほかの全てのことがわかった。

アミが旅立ってしまったあとも、その”援助”のおかげで、古代インカについて知ることができた。古代インカ民族のしていたことと、シャンバラのシルクが言っていたこととは、完璧に合致していたように感じた。

彼らの文明は、南アメリカに住んでいたほかの先住民よりも、はるかに進んだものだった。

そして、人生をもっと高い視点から(より賢明な、自然や宇宙の法とより深く同化した、まったく別の方向から)見る方法をとっていた。

だから、他の征服者達みたいに人々を力でなぎたおしたり、支配したりするようなことは、いっさいしなかった。

インカ帝国を大きくしていく過程で遅れた民族に出会えば、保護と文明化の教えをさしだしこそすれ、彼らを奴隷化したりはしなかった。

そのかわり、彼ら自身で平和的に、帝国への統合を果たすように求めた。こんなふうにして、インカ民族は南アメリカのかなりの部分をかかえこむようになった。

そこにはまるで不正というものがなく、なにより帝国のやり方は、独裁政治のそれでも圧制政治のそれでもなかった。

一人ひとりの民は、手厚く幅広く帝国から保護されていて、多くの歴史家たちは、インカ帝国で機能していたシステムにくらべると、同じ時代のヨーロッパの国々の社会保障は全く遅れていた、と言っている。

そんなインカ民族であっても、アマゾンのジャングルに住んでいるような部族までを同化することは出来なかった。なぜって、そうした人々があまりに原始的な水準にあったからだ。

そして現在の僕達は、ちょうどそのアマゾンの未開人のような状態なんだ。

だって、全てを兄弟のように仲よく分け合うその高度なシステムに同化するには、僕達はあまりに利己主義すぎるからね。

でももし、それまでに自滅しなければ、僕達が進化した世界の、つまり宇宙親交の一員になることは、必然の運命なんだ。だって、その目的のために、僕達は創造されたんだから。

そしてシルクは、僕達一人ひとりには、僕達の種の進化のために割り当てられた責任があり、そのために、一人ひとりが自分の劣った部分を乗りこえることが、どうしても必要になってくると言っていた。

それはあくまで個人的な仕事で、個人が内的成長をとげるために努力することによってのみ、人類全体が進化していけるのだということを、とくに強調していた。

それから僕達が今、進歩発展のとても特殊な状態にあるということも。つまりそれは、人類のはじまりの時点から現在までずっと続いていることだけど、僕達の動物的本性が、星の本性の高い精神レベルより上に立ったままでいる限り、僕達の文明の麻痺は、もう疑う余地もなく目の前にせまっているって。

なぜなら僕達の今の世界は、国どうしがこれまでになく依存し合った関係にあって、大災難をひき起こすのに十分なレベルにまで、つまり惑星の生命をおびやかすほどに、テクノロジーが発達しているからだと言っていた。

それから、自分たちを知的とみなしている種は、次のようにすべきであるということ。

すでに手にしているテクノロジーは、僕達の惑星や文明を守り、よりよくしていくために使うようにする。

そうすれば直ぐにでも、あらたな、全ての人々にとって平和な世界をつくりあげることが出来るのだそうだ。

そのあとで、アミがいちばん最初の旅のときに言っていたことと同じことをつけくわえた。

つまり、膨大な数の人命が奪われる、その大災害がもし起きた場合、彼らは新しい人類としてスタート出来る進化水準に達した人達を救出し、保護することを引き受けるということ。

そして、できればその大災難は起こらないほうがいいし、そのためには意識に目覚めた人達みんなが、自分自身で努力するのは勿論だけれど、周囲の人達にも光をひろげるようにしなければならない、とも言っていた。

それから彼は、僕達に、自分が人類の進歩に奉仕していると信じこんでいる、少なからぬ人達のように、”黙示録の預言者”や”死の使者”にならないようにと、とくに注意強調していた。

実際、彼らがやっていることは、不安や恐怖や絶望の種をまくことであり、人々の恐怖心を無意味にあおる”メッセージ”をひろめることであり、それは人類の頭脳の質をさらに低下させるだけのものだから、救世の望みは、ますます小さくなっていくことになる。

突然、シルクが、”もう、時間がない”と言った。

僕はとても怖くなった。そしてシルク自身、言っていることのつじつまが合っていないような気がした。

だってその言葉自体、彼が、”死の使者”であることを示しているように思われたからだ。

でも、シルクが言いたかったのは、僕達にはもう、ムダにしている時間はないのであって、これまでは、内面的にも外面的にも事態を真剣に変える努力をしないまま、なんとかやってこられたけれど、これから先は一人ひとりが”愛の使者”へと変身するべきであり、それを自分の人生に反映していかなくてはならないということだった。

その点に関して、僕はあまりいい気持ちがしなかった。

だって、崇高なことをたくさん知ったにもかかわらず、僕は結局、他の子供たちとなんら変わるところのない、ごくごく普通の子供のままだったからだ。

勿論悪い子じゃないけれど、愛の使者らしいふるまいをしてこなかった。

それが出来なかったのには、3つの理由があった。

第一に、僕にはその能力がなかった。きっと僕の”愛の度数”は十分な水準に達していなかったろうし・・・。

第二に、仮にその水準に達していたとしても、学校や近所の子供たちとはっきり違ったような行動はとれなかった。だって、もしそんなことをしたら、絶対みんなにからかわれて、いたずらやいじめや悪い冗談の対象になっていたことは間違いなかったし・・・考えただけで、僕、そんなの嫌だ。

だから、だいたいみんなと同じような行動をとっていた。そしてそれは、愛の使者のふるまいからは、ずっとかけはなれたものになっていた・・・。

第三に、これは僕のおばあちゃんも言っていたことだけれど、あれほど崇高な人達と知り合ったということが、一方では僕を傷つけた。だってそのときから、僕達の仲間のちょっとした欠点を、僕は彼ら自身より先に、直ぐ発見することが出来るようになったからだ。

それは、僕のまわりの人達とオフィルの人達とを、どうしても比べてしまうからで、それがときに、僕の心を閉ざすことにもなった。

こうやって、僕は情深い優しい人となるかわりに、反対の人になった。それなのに、自分の欠点を発見するための、そうした能力は得られていない。それをアミが気づかせてくれた・・・だから最悪だった・・・。

でも、その後のシルクの言葉は、僕を元気づけてくれた。

「君たちは、現在のあやまちも過去のあやまちも、毎日少しずつ乗りこえていかなくてはならない。
それは原点に立ち返ってはじめることによってのみ、出来ることなんだ。

つまり君たちの人生のいちばん大切な目的をはっきりとさせることであり、その目的とは、愛の成長に奉仕することにほかならない。

愛の成長に奉仕しているということは、いつも頭の中にはっきりとやきつけ、心の中に生き続ける感動として、決して忘れることがあってはならない。

そうして、はじめは君たち自身の内面から、そのあとで君たちのおこないを適応させていき、やがては君たちが時間の全てを使って、愛の成長に奉仕出来るようになるまで・・・よりよい人間に変わっていけるまで、君たちはこのいちばん大切な目的にそって努力していかなければならない。

でも、くりかえすようだけれど、その仕事は少しずつおこなわれるべきものであって、まずは欠点のひとつからはじめて、だんだんと別の欠点へとうつっていくようなやり方をしなくてはならないんだ」

それからシルクは、人々が苦悩することも、大量の死者を出すこともなく、僕達の惑星がよい方向に変化していく可能性は残っていると言った。

でも、これはいつもしっかりと自覚しておかなければいけないけれど、”もう、時間がない”。つまり、もう僕達は時間をムダにできないということだ。

それから、喜び、健康なユーモア、楽天主義、希望、責任、悪意のない魂、信念、許し、隣人への助け、本物の愛などが、ますます必要不可欠なものになっていき、それが人類にとって、そして一人ひとりにとって、高い水準の存在へ移るのに必要なエネルギーになると言っていた。

反対に、どんなものであれ、恐怖、絶望、堕落などの種をまくものからは、距離をおくことが必要だとつけくわえた。

そして自分たちの性格上のおとった部分にたいして、もう少し自分自身厳格になるべきであり、友達や指導者を選ぶときにも、もっと厳しく判断すべきだということだ。

最後にシルクは、次にあげる欠点は、どんな犠牲を払ってでも自分たちの中から追放するべきで、もしそれらの欠点が大きければ、新しい世界の一員になることはできないと言っていた。

それは、羨望(ねたみ)、利己主義、暴力、物質主義、人の不幸を望むこと、(知的、感情的、物質的、性的なことにたいする)無責任、恩知らず、不機嫌、それから僕達の全ての宗教が、そのおきての中でいましめていること。

僕はねたみと利己主義が最初にあげられていたことに、とても興味をひかれた。だって僕達にとって、それはとても日常茶飯なことだったからだ。

「新しい世界の土台を固めるときには、今シルクが言ってたような悪い種をまくことは許されない。だって、そんなものは、人類家族の分裂を引き起こすばかりだからね。必要なのは、それとは正反対のものなんだから」
とアミが説明してくれた。

シルクは沢山の理解の窓を一杯に開けてくれた。

しばらくたって、彼ともっとリラックスして話せるようになったとき、僕は彼を質問ぜめにした。

「じゃ、あなたたちが僕達の創造者なんですね・・・」

「そのとおり。でも、我々は君たちを、自分たちの子供のように思っているんだよ」

「あなたたちの半分の遺伝子しかもっていないのに」

「子供は誰でも、その父と母の遺伝子を、それぞれ半分ずつしかもっていない。だから我々は完全に、君たちのことを自分たちの子供だと思っているよ」

「ああ、なるほど、そのとおりだ・・・地球の全ての人種、もともとのルーツは、あなたたちなんですか?」

「勿論」

「どうして、こんなに違いがあるんですか?」

「それは表面的な違いでしかないんだよ。たんに皮膚の色が違うとか、その程度のものだ。
そうした違いは、少しずつつくられていったんだよ。

最初のころ、人間たちのグループはそれぞれ遠くはなれたところに暮らしていて、お互いの交流がまったくなかった。そうして長い時間がたつうちに、それぞれの環境状態や遺伝の法則が作用して、民族ごとの顔だちの特徴や考え方の違いができあがっていったんだ。

でも結局は、地球上の全ての民族は、みな同じ起源をもっていて、ひとつの人類家族を構成しているんだよ」

「じゃ、どうしてあなたたちは僕達よりも背が高くて、オフィルの人達よりも背が低いんですか?」

「それは人間の表面的な違いと同じことで、ほとんど重要ではない。身体の大きさと進化水準とは全く関係がないんだ。

もしそうだとしたら、恐竜は大変なインテリでなくてはならなかったろう。でも実際には違っていた。身長の違いには、自然環境がおおいに関係している。

オフィルのエネルギーは、この若い惑星のエネルギーよりも、人類の成長に有効に作用している。

そして、我々の住んでいるここの環境状態のほうが、君たちの環境状態よりも、人類の成長により有利に働いているんだ。

この基地は、君たちのとは違った生態系をもっているからね。そのうえ、ここ内部では、誰も人と競争していないからね」

と笑って言った。そして続けて、

「ここでは競争するのではなく、協力し合うんだよ、だから君たちに比べて、我々の人生のほうがずっとストレスが少ないんだ。

ここでは誰ひとりも心臓麻痺で死ぬことはないし、生き伸びるためのあの過酷な精神的圧迫に耐える必要もない」

「別のことで、わからないことがあるんだけど」
とビンカが言った。

「どうぞ」

「どうして新しい種の人類を創造するかわりに、あなたがた自身がこの地球やキアに住んで、自分たちの子孫をつくっていかなかったんですか?そのほうがずっと簡単だと思うけど・・・」

シルクは笑ったあとでこう言った。

「庭に花や草木がたった一種類しかなかったとしたら、とても単調に見えるだろう・・・」

「ええ、勿論」

「愛は創造者であるから、産みだし、完成に近づけ、より美しくして、それを分かち合うんだよ」

「それに、子供がいるっていうのは素晴らしいことじゃない、どう?」
とアミがつけくわえた。

「ああ・・・勿論」

「我々は自分の子供たちにほこりを感じているよ」

シルクは優しく笑って言った。

「僕達にほこりを感じているだって?・・・でも、僕達はまだ未開人にすぎないのに・・・」

「それほどじゃないよ。洞窟に暮らしていたころからくらべれば、かなり進歩してきたろう。芸術や科学技術の知識のことなんかを考えてごらん。たしかにまだ、内面的なことや精神的なことに対して、大きな注意を向けてないけど、ほかの面ではとび抜けてきている。

太陽系調査をする宇宙船もあるし、遺伝子工学の分野にまで入りこんできている。それに君たちの種から、素晴らしい人達(高い精神レベルを持つ人達、献身的な科学者たち、芸術家たち、そして善や自由や平和の闘士たち)が、なんと大勢出てきたことか。

それを忘れてはダメだよ・・・君たちの生活が、どれだけよくなってきたかも忘れてはダメだ。

勿論、まだまだ完璧じゃない。部分的に不足しているところもある。とても大事なことだって十分じゃない。でも君たちは、宇宙親交に仲間入り出来るだけの用意がほとんどできているんだよ」

「僕達が?・・・」

「その可能性はおおいにあるってことだよ。今直ぐ仲間入りはできないとしてもね。君達は、宇宙親交が絶対必要とする価値に、ちゃんと目を向けていないんだ。

ただそれだけなんだよ。だって君たちは、自分達に不足しているものをすばやく学び取って、それを直ぐさま実践に移すことが出来るし、君たちの種には、誰にとっても等しく豊かな世界にむけて、力を結集し実現出来るだけの力もある。

今はなにもしていなくとも、本当は善意を持った人達が大勢いるし、名もない多くの善人が、利害を超えて他人にその手をさしのべている。そして手助けしたいと思いながら、どうしたらよいのかわからないでいる人達も、沢山いる」

「じゃ、いったいなにが僕達に不足しているんですか?」

「君たちが、高い水準の存在に移っていけない理由はただひとつ。さまざまな分野において、君たちのものの見方がまだ変化できていないからだよ。

君たちの文明を導いている物質主義的な観点や外面重視の視点から、もっと人間の内面を完成するというテーマに向けてピントを合わせていく必要があるんだ」

あのシルクの言葉を聞いたとき、僕は心から納得できた。

「そのとおりです、シルクさん・・・でもどうして、まだその変化が起こらないのですか?」

「それは、考えるのは自分たちのことばかり、みんなの豊かさについてはまるでかえりみようとしないわずかな人達が、世界を動かす舵を握っているからなんだよ。

それに、その人達が握っている権力はとても大きいから、自分たちにとって都合がいいと”考えている”状況に向けて、勝手な思惑だけで人類全体をひきずりまわしているせいなんだよ」

「そのうち、ブーメランにやられるわ」
とビンカはとても怒って言った。

「でも、惑星自身の必要性と、人々の意識の高まりによって、直ぐに今の状況は変わりはじめるよ。そのときこそ、君たちの協力がなくてはならないものになるんだ。

ひとつの状況から別の状況へと移り変わっていくときには、変化を阻もうとする力が働いて、大きな災いが引き起こされたりする。

そうした災いとは無縁に、出来るかぎりスムーズに前進をはたすのが望ましいけれど、それが出来るのは、全体の意識の高まりだけなんだ。

そしてその意識の高まりを生んだものこそ、愛であり、愛に導かれた知性なんだよ。だからこそ、地球の愛の成長を助けることが、なにをおいても大切なんだ」

僕達は、シルクに感動と感謝を込めて別れをつげた。今、改めてこの場を借りて、シャンバラにありがとうと言いたい。

僕達は円盤に戻り、海岸の僕の家に向けて出発した。

ビンカと僕は、シャンバラで学んだ全てのことに、とても強い印象を受け、大きな感動を覚えていた。

とくに、僕達の世界が思っていたほどひどいわけじゃないということや、大きな変化の時期が訪れるのは、そんなに先でもないということがわかったのは、大きな収穫だった。

「でも、その変化が恐ろしいものじゃなくて、なにかしら美しいものであってほしいなら、自己を高めるための努力をしなくっちゃ」
とアミは僕達に言った。

>>>「アミ 3度めの約束」第10章 援助

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