あとがき
見返りを求めないという無条件の愛の趣旨にふさわしく、この本がすべての人に無私の志で届いてくれることを切に願う。
そのため、内容を変更せずに営利を目的としないのであれば、本書を自由に取り扱ってくれてよい。すべてのメディアでの全体あるいは一部の複製をこの場で許可し、その活動を後押しするものとする。
皆の協力によって、輪が広がっていくことが僕の願いだ。霊性や愛のテーマに関しての質問があれば、それが個人的なものでも一般的なものでも気兼ねなく訊いてもらえれば嬉しいし、可能な限り返事をしたい。
一般の関心事で役に立ちそうな貴重なものは、共有していくつもりだ。本書『愛の法則』は『魂の法則』の第二編にあたるが、前作の読者から寄せられた質問も取り入れてある。
また、できるだけ多くの人びとにメッセージが行き渡るように、本書を他の言語に訳してくれる、私心なき人たちの協力もお願いしたい。
話を直接聞きたい人の数がある程度まとまって、君の町や村に僕たちに行ってほしい場合は、遠慮なくそう教えてほしい。君の町や村が、他の国や別の大陸にあっても構わない。僕たちのできる範囲で、要望に答えたい。
講演会での依頼者側の費用負担は心配ない。完全に無私無益の活動なので、旅費や宿泊費も僕たちが持つ。誰でも興味のある人が、自由に無料で参加できることが条件だ。
君に、僕の愛のすべてをこめて。いずれどこかで会えるときまで。
ヴィセント・ギリェム
訳者あとがき 本物の「愛」に近づこうと
『愛の法則』についての著者の講演会で、参加者から一つの質問が出ました。
「ヴィセントさん、あなたは本の中で真のカップルの愛とは、AでもBでもなく、CでもなければDでもない、と様々な角度から説明をなさっていますが、一言でまとめると、それは一体どのようなものなのでしょうか? 多種多様なまがいものの愛はよくわかりましたが、本物がどのようなものなのか今ひとつ掴めないので、教えていただけますか」
それはまさに、私自身も感じていたことでしたので、著者がどう答えるのだろうかと、興味深く成り行きを見守っていたところ、
「相手に対する心からの想い、真の愛の感情が存在するかどうかです。それはいろいろな面に反映されるので、わかる筈です」という簡潔な返答があっただけでした。
質問者は腑に落ちずに、なおも食い下がりたいような顔つきでしたが、内心は私も同じでした。パートナーに対する心からの想い、真の愛の感情というものがよくわからなかったり、別のものと混同してしまうことがあるために、人間関係で戸惑ってしまう場合があるのではないかと思うからです。たとえば、後から振り返って見た時に混同していたことに気づけたとしても、恋愛の渦中にいる人は例外なく、相手に対する自分の想いこそが真の愛である、と真剣に信じ込んでいるものなのではないでしょうか。
「ヴィセントさんのようにエゴを見極めることができる人にはたやすいことなのだろうけれど、普通はなかなか見分けられない。一言で『愛』と言っても、一筋縄ではいかないなあ」と感じた次第でした。
実際、本書で解き明かされる様々な理由によって、地上の大半の結婚には、初めから真の愛など存在していないということです。虚しさを覚えながら、自分の感情を放棄して世間体のために我慢しても幸せにはなれず、また、霊的な進化も望めません。ですので、愛の欠如に苦しむのであれば、方向転換をする勇気も必要になりますが、問題は、そういう自分の感じ方自体がエゴに因る場合があることです。せっかく愛で結びついた夫婦も、愛を育む努力を怠ると、エゴに負けて別れてしまう怖れがあるからです。
エゴまみれの愛し方のせいで、不必要な自己犠牲を自分や相手に強いてしまうことのないように、自分自身がどのように愛しているのかをよく分析して、感情を識別できるようになることが大事になります。本当に難しいことですが、真実の愛の感情と愛を装う偽物とを見分けることが簡単でないからこそ、愛し愛される無数の経験を通して学んでいく、霊性進化の道のりがあるとのことです。
愛の感情は自然に湧き起こるものなので、初めから自分が好きな人を愛することは簡単でも、苦手な人を愛することは難しく、「愛する」という行為ですら、自我主導のエゴ的な行為に思えて、自己嫌悪に陥ることもあります。
でも幸いなことに、分け隔てをせずにすべての人を愛するという進化の十段階目に達するためには一段階目から始めて、中間のレベルを超えていかなくてはならないとイザヤが教えてくれています。パートナーや家族など一番身近な人への愛も知らないまま、無条件の愛に近づこうとするのは無理なことなのでしょう。自分に愛することができない人がいても落胆せずに、現時点での自己の魂の許容度を認めて、少しずつ愛する能力を獲得していけばいいのだと思います。
自分の子どもであろうと、伴侶であろうと、人は誰にも属さないのだということを心に刻んで、執着心や独占欲を克服することの大切さを感じています。そうして、愛する人には自由でいてもらい、その人の喜びや痛みを自分のことのように感じられるようになりたいと願っています。
本物の愛であれば、距離や時間によって失われはせず、「愛していた」、「愛するだろう」と過去や未来形で語られることもないと思います。永遠に「愛している」状態にいられることでしょう。
著者のヴィセントさんは、使命感と勇気に溢れる、言行一致の素晴らしい魂です。
著作に『神との対話』やシルバーバーチの影響を感じられる方も多いのですが、意外なことにヴィセントさんは、そのどちらもご存知ありませんでした。著者によると、高次の霊性が伝えることはいつの時代でも一貫していて、目新しいことはほとんどないのだそうです。無条件の愛という霊性進化のゴールを目指して続く、果てしない道程のことを思い浮かべるとため息が出ますが、魔法の杖を持たない私たちがするべきことは、地道に、愛の能力を発展させてエゴを排除する努力をしていくことに尽きるのでしょう。
ヴィセントさんは、これからは実践の時期なので、もう本を書くことはないだろうとコメントされています。『魂の法則』、そしてその続編にあたる本書『愛の法則』に巡り会うことができたことは、人生の最大級の喜びです。お読みいただいた皆さまにとりましても、有意義なものであることを願っております。
末尾になりますが、本書『愛の法則』の出版にあたっては、前作の『魂の法則』で山川紘矢・亜希子ご夫妻に繋いでいただいたご縁で、再びナチュラルスピリット社の今井博央希社長と編集者の笠井理恵さんにお世話になりました。また、東京の福嶋ひとみさんとマドリッドの小野英子さんには、稚拙な訳をなんとか読めるものにすべく助けていただきました。この他にも、読者の皆さまをはじめとする、本当に多くの方々のお陰で発行できましたことを、心から感謝しております。
皆さま、どうもありがとうございました。
二〇一五年四月十二日
小坂真理
■著者 ヴィセント・ギリェム プリモ Vicent Guillem Primo
1974年にスペインに生まれる。バレンシア大学で生化学博士号を取得し、現在はバレンシア大学病院の血液・腫瘍科で、がん遺伝子の特定に関する研究者として働いている。週末には、妻のフアニーと共に、無償でレイキ治療を施したり、病気の感情的原因についての講演活動を全国で行うなど、無私無欲に活動している。著書に、本書『愛の法則』と前作『魂の法則』(ナチュラルスピリット)がある。ボランティアの手で英語をはじめ、数ヵ国語に訳されている。
ウェブページ:http://lasleyesespirituales.blogspot.com.es
日本語サイト:http://tamashiinohousoku.blogspot.com.es
日本語対応メールアドレス:tamashiinohousoku@gmail.com
上記のサイトで、『魂の法則』と『愛の法則』のPDFや電子書籍を無料でダウンロードできます。また講演会の日程等も調べることができます。
■訳者 小坂真理(こさかまり)
マドリッド在住。東京外国語大学スペイン語科卒。
著者の姿勢に感銘を受け、前作の『魂の法則』に引き続き、素人ボランティア翻訳を手がけた。
愛の法則 Part1【プロローグ】
愛の法則 Part2【愛の法則】
愛の法則 Part3【愛の法則から見たパートナーとの関係】
愛の法則 Part4【愛の法則から見たカップルにおける不実】
愛の法則 Part5【パートナーとの関係におけるエゴ的感情】
愛の法則 Part6【愛の法則から見た子どもとの関係】
愛の法則 Part7【愛の法則から見た隣人愛】
愛の法則 Part8【愛の法則から見た十戒】
愛の法則 Part9【イエスの地上での使命 その2】
愛の法則 Part10【おわりに】
愛の法則 Part11【あとがき】