宇宙人アミ

「アミ小さな宇宙人」第1章 墜落UFO

まえがき

アミの大切なメッセージの伝達者としての役割を私に与えてくれたことを宇宙の魂に感謝します。

メッセージは、受け手に認められてはじめて、有効なものとなりえるのです。

この本は現在11種類の言語に訳されていますが、これは十分すぎるほど認められていること(だと思うので)、とてもうれしく感じます。

アミの読者はすぐに気がつかれると思いますが、日本は私にとって、とても意味のある国なのです。

世界的に有名で、才能あふれる漫画家のさくらももこさんにイラストを添えていただけるというご好意と、親和力の法則で、アミは突然起きあがりました。

さくらさんはアミに胸をうたれたと書かれましたが、私もまた彼女の優しさと『ももこのいきもの図鑑』に胸を打たれました。

私は別の世界の兄弟たちのように遠すぎて目に見えないような世界のものたちにひかれます。

さくらさんは小さな虫たちや、小鳥、みみずのような近すぎて目に見えないような世界のものたちにひかれます。

私は彼女に感謝し、このめぐり合わせをひき起こしてくれた宇宙に感謝します。

間違いなくこれは数かぎりない人々に喜びと光を与えてくれることでしょう。

ブエノスアイレス、2000年の春のはじめの日
エンリケ・バリオス

イントロダクション

十歳の子供にとって、一冊の本を書くことは、決してやさしいことではない。

この年ごろは誰も文学についてよく知らないし・・・また、ほとんど興味ももっていない。

でも、僕はそれをどうしてもしなければならない。

だって、アミが、もういちど、彼に会いたいなら、彼と一緒に過ごしたあの体験を、一冊の本に書かなければならないと言ったからだ。

でも、たいていの大人にとって、恐ろしいことのほうが、素晴らしいことよりも、ずっと信じやすいことだから、ほんのひと握りの大人しか僕を理解しないだろう、とアミは言った。

また、アミは、僕に問題がふりかからないように、次のように言うことを忠告してくれた。

これから語る全てのことは、僕の単なるファンタジーにすぎず、子供のためのおとぎ話だと。

彼の言ったとおりにしよう。そうこれは、全くのおとぎ話です。

注意(大人のみに向けた)
読み続けないように!きっと面白くないでしょう。ここに書いてあるのは、素晴らしいことばかりだから。

この青く美しい、まるい地球の
未来の後継者であり
また、兄弟間に争いのない
新しい地球の建造者である
すべての国のさまざまな年齢の
子供たちに捧げる

第1章 墜落UFO

去年の夏のある日の午後が、始まろうとしていた。

そこはほとんど毎年、おばあちゃんとバカンスに出かける海辺の温泉場で、その夏は小さな木造の家を借りることができた。

家の中庭には松の木やユーカリの木がたくさんあり、庭のまわりには、色とりどりの花がたくさん咲いていた。家は海のすぐ近くにあり、海に向かう小道に面していた。

もう、夏も終わりかけていたので、人の数もまばらだった。

僕のおばあちゃんはいつも、このころ、バカンスに行くのが好きだった。

そのほうがずっと静かだし、ずっと安あがりだとよく言っていた。

夕日がせまっていた。

僕は人気のない海岸の高い岩の上に座り、ひとり海を眺めていた。

突然、頭の上の空に赤い光が見えた。

最初は、照明弾か祭りの時などによく見かける花火かなと思った。

それは、火花をちらし、色を変えながら、だんだんとこちらのほうに向かって降りてきた。

ずっと下まできたときに、大きさが小型飛行機かそれ以上あるので、照明弾でも花火でもないことがはっきりした。

海岸からおおよそ五十メートルくらい、ちょうど僕のいる正面の海中に、それはなんの音も立てずに落ちた。

ひょっとして飛行機事故の現場を目撃してしまったのではないかと思って、空を見あげてパラシュートを探したが、何も見えなかった。

あたりにはまったく人影もないし、海岸の静けさをかきみだすような物音ひとつしなかった。

僕はとても怖くなってきて、走っておばあちゃんに知らせに行こうかと思った。でも思い直して少し様子を見ることにした。

何も見えてこないので諦めて帰ろうとしたとき、ちょうどそれが落ちた辺りのところに何か白く浮きあがったものが見えた。

誰かが泳いでこっちにやってくる・・・。

きっと、助かったパイロットだろう。岸まで着いたら、手を貸してやろう。

軽快に泳ぐ様子から見て、たいしたケガではなさそうだ。

ずっと近づいてきたとき、それが子供であることがわかった。

岩にたどり着き、登りはじめる前に、とてもひとなつっこい目で僕のほうを見あげた。

助かったことをとても幸運に感じているらしく、たいしたショックも受けてない様子なので、僕も少し安心した。

僕のところまでたどり着き、濡れた髪の毛の水気をふりきってから、ニッコリとほほ笑んだので、僕もやっと平静に戻った。

喜良そうな子供の顔をしていた。

僕の横に座り、深いため息をつくと、空に光を放ち始めた星を、黙って見つめている。

年齢は僕と同じくらいか少し下で、背はほんの少し僕より低かった。

パイロットが着るような白い服は、防水が効いているらしく、もう濡れていなかった。

靴底の厚い白いブーツ、胸には、円の中に翼の生えたハートが描かれている金色のバッジを付けている。

腰には大きな美しいバックルのついた金色のベルト。

両腰にはトランジスターラジオのようなものを付けていた。

一緒に並んで座ったまま、しばらく沈黙が続いた。

彼が何も言ってこないので、僕のほうから、いったい何が起きたのか尋ねてみた。

彼は、「不時着だよ」と笑って答えた。

かなり、変なアクセントで話すので、たぶん、どこか遠い外国からきたんだろう。

でも、とても感じがよく、大きな優しい目をしていた。

「パイロットは、どうしたの?」

彼は子供だったので、当然、大人のパイロットがいるはずだ。

「別に異常無いよ。きみの直ぐ横に座っている」

「エッ!」とても驚いた。

この子は僕と同じくらいの年で、飛行機が操縦できる!すごい!きっと彼の両親は、大金持ちだろう。

夜がせまってきて、肌寒くなってきた。彼はそれに気がついたらしく、僕に聞いた。

「寒いかい?」

「うん、ちょっと」

「とてもいい気温だよ」

と彼はほほ笑んで言った。

すると不思議なことに、僕も寒さを少しも感じなくなった。

少したってから、これからどうするつもりなのか聞いてみた。

彼は空をながめたまま、「任務を果たす」と答えた。

彼は僕のように夏休みを楽しんでいるというのではなく、何か重要な使命を持っている特別な少年のような気がした。

たぶん、何か極秘の・・・。でも、それを聞く気にはとてもなれなかった。

「飛行機、無くして悲しくないの?」

「無くしてなんか、いないよ」

とわけのわからない答えをした。

「無くしてないって、だって、壊れたんじゃないの?」

「ううん」

「でも、いったいどうやって、海の中から引き揚げて修理するの?それとも、それはちょっとムリかな」

「いや、引き揚げられるよ」

と僕を優しく観察するように見て言った。

「きみ、何て名前?」

「ペドロ」と答えたものの、何か気に入らなくなってきた。どうして僕の質問に答えないんだ。

彼は僕の不満にすぐ気がついたらしく、笑って言った。

「怒らないでペドゥリート(訳注:ペドロという名前の、小さいという意味や愛情をこめた言い方。例アナ→アニィータ)、怒らないで・・・。年はいくつ?」

「もうすぐ十歳・・・きみは?」

すると、まるで赤んぼうがくすぐったいときに笑うような笑い方をした。

僕にはできない飛行機の操縦ができるからって、なんだか僕を見くだしているように感じた。

何か気に入らなかった。でも感じがよく、優しそうなので、とても本気で怒る気にはなれなかった。

彼は、「きみが思っているよりもずっと上だよ」と言ってベルトからトランジスターラジオのようなものを取り出した。

それはポケット用の計算器の一種で、スイッチを入れると僕の見たことのない記号が光ってあらわれた。

彼は何かを計算してその答えを見て、笑って言った。

「いや、いや、言わないほうがいいだろう。きみはきっと信じないからね・・・」

 

やがてすっかり夜になり、空には美しい満月が昇って、海上を照らしはじめた。

月明かりの中で、僕は彼の顔をじっと見た。八歳以上には、どうしても見えなかった。

にもかかわらず飛行機のパイロットだ・・・。やはり彼の言うようにもっと年上だろうか?

ひょっとして、身体だけが小さい大人なんじゃないんだろうか?

突然、彼が僕にこう言った。

「宇宙人って、本当にいると思う?」

実際、答えるのにしばらく時間がかかった。

夜の星が瞳いっぱいに反射したようなキラキラした目で僕をじっと見つめている。

普通の子供にしてはあまりに美しく見えた。

火を吹いた飛行機、彼の出現、見たこともない、奇妙な記号のあらわれる計算器、彼の変なアクセントや服装、そのうえ、子供ときている。

普通の子供に飛行機の操縦なんかできっこない・・・。

「きみ、本当に宇宙人なの?」

僕はおそるおそる聞いてみた。

「もしそうだとしたら・・・怖いかい?」

そのとき、はじめて彼が地球の外の世界から来ていることがわかった。少し驚いた。

でも、彼はとても暖かいまなざしをしていた。

「じゃ、きみは悪者なの?」

とおずおずと聞いてみた。

彼は楽しそうに笑って言った。

「たぶん、きみのほうが僕より少し悪い子だよ」

「どうして?」

「だってきみは地球人だからね」

「じゃ、本当にきみは宇宙人なの?」

「驚かないでね」

と僕を安心させるように言いながら、空の星を指さして、

「この宇宙は命で満ちあふれているんだよ。何百万、何千万という星に人が住んいるんだ・・・たくさんの善良な人たちが住んでいるんだよ」

どういうわけか、彼の言葉は、奇妙な効果をもたらした。

彼の言ったとおり、本当に僕の目に、何百万、何千万もの宇宙の星の住人たちが見えてきた。もう、恐怖心はどこかへ行ってしまった。

彼が他の星の人間だということを、なんの驚きもなく、受け入れることに決めた。

とても友好的だし、悪意なんか全くもってないように思えた。

「でも、どうして僕たち地球人のことを悪い人だと言うの?」

彼はうっとりと空を見つめたまま言った。

「なんて美しいんだろう。地球から見た天空は・・・。この大気があの天空の輝きや色を生み出しているんだ・・・」

 

今度も僕の質問を無視している。

また、何か不愉快な気分になってきた。

それに僕を悪い子だと思っている。大間違いだ。

僕はこう見えても、大きくなったら探検家になって、悪い人をこらしめようと思っているんだ。

「あれがプレアデス・・・。素晴らしい文明のある星だ」

「ここだって、みんながみんな悪い人ばかりじゃないよ・・・」

「あの星を見てごらん。今見えているのは百万年前のものだ。あの星は今はもう存在していないんだ・・・」

「地球だって、みんながみんな悪者じゃないって、さっきから言っているだろう。どうして僕たち地球の人のことを、みな悪だなんて言うんだい?」

「そんなことは言ってないよ」

空を見続けたまま目を輝かせてこう言った。

「まるで奇跡だ・・・」

「さっき、言ったよ!」

僕があまりに大声で言ったので、彼はまるで夢から覚めたように、ハッとわれに返った。

これじゃ、まるで僕のいとこと同じだ。

好きな歌手のブロマイドを見ているときといったら、本当に夢中で話にならない。

彼は僕をじっと見たけれど、少しも怒っているような感じではなかった。

「地球人はたいてい、他の星の人ほどには善良じゃないって、言いたかったんだよ」

「ほうら、やっぱり地球人は、この宇宙の中で最悪だと言っているじゃない」

すると、彼は僕の髪をなでながら、優しく笑って言った。

「そんなこと、言っていないよ」

そのときは、本当にムッときた。頭をふって彼の手をはらいのけた。

僕を、まるでずっと年下のバカみたいに扱うのには、とても我慢できなかった。

これでも学校の成績はクラスでもトップグループのひとりだし、もう十歳になるんだ。十歳に!

「この地球がそんなに悪者ばかりなら、わざわざ何しに来たんだい、ここに?」

「海にうつった月をじっくり観察したことある?」

またまた僕の言っていることを無視して、勝手なことを言っている。

「わざわざ僕に、海に反射した月をよく見るように言いに来たのかい?」

「たぶん、そうかもしれない・・・。僕たちは宇宙に浮いているってことに気がついたことある?」

これを聞いて、もうはっきりとわかった。この子は気がふれているんだ。

自分を宇宙人だと思いこんでいるんだ。だから、さっきからいろいろ変なことばかり言うんだ。

僕はもう家に帰りたくなった。彼のバカらしい空想を少しでも信じた自分がはずかしかった。

僕をからかっていたんだ。宇宙人だって・・・おまけに僕はそれをすっかり信じた!

自分で自分が情けなくなり、彼にも自分に対しても腹が立った。

彼の鼻づらに一発パンチをくらわしてやりたくなった。

「でも、どうして?僕の鼻、そんなに不格好かな?・・・」

 

全身が凍ったようになった。ぞっとした。僕の考えていることがわかるんだ!

おそるおそる彼の顔を見た。何か勝ちほこったようにほほ笑んでいる。

これはきっと何かの偶然だと考えたかった。負けたくはなかった。僕の驚きは知られたくない。

ひょっとすると、本当かもしれない。

ひょっとしたら、人の心の中を読むことができる宇宙人かも・・・。

でも、もういちど試してみないことには・・・。

「今、僕は何を考えていると思う?」

と言って、誕生日のケーキを想像した。

「今まで試しただけじゃ、まだ十分じゃなかった?」

一歩もゆずるつもりはなかった。

「試したって、何のこと?」

彼は足を投げ出し、ひじを岩の上について、優しく言った。

「ねえ、ペドゥリート、もっと別の現実ってものがあるんだよ。きみの知らないもっとずっとデリケートな世界がね。繊細な知性に近づくための、繊細な入口が・・・別のコミュニケーションというものがね・・・」

「何が言いたいんだい?」

「いくつもの、ろうそくつけたやつ・・・」

と彼はほほ笑んで言った。

腹に一発パンチをくらったような感じだった。泣き出したい気分になった。

自分のおろかさに気がついた。僕は彼に謝った。

彼は少しも不快に思わなかったらしく、とりあおうともせずにただ笑っていただけだった。

もうこれからは、決して彼を疑わないと心に決めた。

>> 「アミ小さな宇宙人」第2章 宙に浮かんだペドゥリート

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