転生のプロセス
初めに、死後あるいは肉体から離脱した後に、何が起こるかについてお話して下さいましたが、生まれる前のことをもっと詳しく知りたいです。
どうやって転生するのですか? 魂が生まれる前からあるとするなら、それが宿る肉体との関係には始まりがあると思うのですが、魂は、いつどのように赤ちゃんの身体に入るのですか?
一般的に、転生する魂は、受胎前から未来の家族を訪問し始め、中には、母親と父親に子どもを持ちたいという欲求を呼び起こさせるケースもある。
受胎すると、魂は受精卵と結びつき、妊娠中はそれが正しく成長して発達できるように関与するので、肉体との絆は、魂が肉体から分離する時まで切れることがない。
妊娠中は、転生しようとする魂のアストラル体と胎児の身体が、段階的に融合していく。生まれ変わる魂は、胎児にされることや母親が感じることなどを感知し始める。
この時期、魂はすでに肉体と結びついたとはいえ、まだ充分自由に移動でき、霊界の友人やガイド役たちとの交流もある。霊界から物質界、あるいはその逆を魂が行ったり来たりしている移行期には、誕生に備えて、物質界での両親や親戚になる者たちと馴染んだりする。
しかしながら、魂が赤ちゃんの身体と合体するのは、通常は誕生の瞬間だ。
でも、子どもが欲しくないのに生まれて来てしまうカップルが沢山いますが、それはどうしてなのですか?
避妊対策を講じている場合でも、両親の性欲を刺激して、うっかりさせてしまうのだよ。
一方では、子どもが欲しいのに、どんなに努力しても生まれない両親もいます。
君たちは、自分たちが転生の過程をコントロールしているとでも思っているのかい? そうだとしたら、間違っているよ。すでに言った通り、転生は、魂同士の転生以前の合意による。
肉体的に何の障害もないのに、子どもが欲しくてもできない場合がある。それなのに、別の場合では、その気がないのに思いがけなく子どもができてしまうことがある。だから「生と死は天の意思」という民間のことわざは的を射ていると言えよう。
人間はこの世に魂がやって来るのを、妨げたり遅らせたりはできる。だが、霊界で予定されていなかったり、霊的基準に照らして妥当だと判断されなければ、魂が来るよう強いることはできないのだ。
また胎児には、善し悪しを知覚できる魂がすでに結合しているのだから、ずっと繊細に扱わないといけない。胎児は、愛情をもって受け入れてもらえると感じれば嬉しくなり幸せで、歓迎されなかったり中絶などの危害を加えられると感じれば苦しむものだ。
親が望まない子どもや、育てきれない子どもは生まれない方がいいと考えたり、奇形があって生まれるとこの世で苦しむことになると考えて、妊娠中絶に賛成している人もいますが。
それなら、子どもがすでに生まれていて面倒を見られなかったら、同じような理由で、捨てたり殺したりするのが正当だと思うのかね?
もちろんそうは思いませんよ。生まれたばかりの子どもを捨てたり殺したりするのは、非人間的な行為で犯罪になってしまう。
それならどうして、子どもがお腹から出た後では犯罪で、お腹にいる時にはそうは見なされないのかい?
子どもが形作られる前の、まだ胎児とならない妊娠初期の何ヶ月かの間に流産させる、ということなのだと思いますが。
君の話を聞いていると、問題の焦点は、形成中の命が細胞の集合体から子どもと見なされる境界を越えるのはいつか、ということのようだね。細胞の集まりと考えられている間は、中絶は合法的だが、その固まりが子どもと判断されるなら、生命尊重の思想を真面目に検討しなければいけないと言うのかい?
そうだろうと思います。
その考え方によると、胎芽が、細胞の集まりから子どもだと判断される境界を越えるのはいつかね?十日後か、一カ月か、三カ月か、五カ月か?
それは、わかりません。いつから子どもだと見なすかについては、人それぞれ独自の意見を持っていると思います。もしかすると三カ月未満はそうではなく、それ以後は子どもと見なすのかもしれません。
実際のところ、中絶賛成派は、人間の命は誕生をもって始まり死によって終わるとする主義に基づいており、形成中の存在をいつから人間だと見なし始めればいいのか、はっきりとわかっていない。そのため、これと同じ人びとが、病の末期で苦しむ場合や寝たきりの重度の身体障害がある場合などに、安楽死を支持することとなる。
こうしたことが起こるのは、生命を物質主義的観念で捉えるから、つまり、物理的生命の存在しか認めず、物質界に具現するために使う肉体を、人間そのものと同一視しているからだ。
だからこの視点では、妊娠の初期の、胎芽の細胞がまだ赤ん坊の形態を取るほど分化していない段階では、人間だと見なしていないので、妊娠中絶に不都合を感じない。
しかし霊的観点から見れば、「魂の素」がなければ生命はあり得ないので、肉体そのものは、それが胎児のものであろうと子どもや大人のものであろうと、生命ではない。
生命とは魂の命であり、転生する肉体の命ではない。注目すべきは、肉体の発育ではなく、魂がいつ胎芽と結びついたかで、それが命の始まりであり、それはすでに言った通り、受胎の時点なのだ。
それゆえ、魂が肉体に結合した後に妊娠を中断させるのは、生まれ変わる魂の自由を侵すことになる。
でも、この世の大部分の人は、生まれる前の生命の存在を信じてはいないので、物事をそのような角度から見るのは、母親にとって大変難しいだろうと思います。
すべての人間――それゆえすべての母親――は、肉体化がどのように行われるのかを本能的に知っている。肉体を持つ誰もが、数え切れないほどこの過程を経験してきたからだ。
良心の声は、中絶をすれば生まれ変わって来る存在の自由意志を侵すことになる、と忠告してくれる。
しかし、子どもが欲しいかどうかを決める母親の自由もあるでしょう。
確かにそうなのだが、本当に子どもが要らないのであれば、肉体に宿る存在が登場する前に、対策を講じるべきだ。つまり、始まったプロセスを中断しなくてもいいように、避妊対策をするべきだ。
避妊具を使って、出産を制限すべきですか?
君たちの世界では、責任を取れる数以上の子どもは妊娠しない方がいいし、避妊は、転生する魂を損傷せずに妊娠を防ぐ手段となる。
進んだ世界では、魂を宿すには性関係以上のことが求められ、進化の必要性によって生まれる子どもの数が異なる。
でも理由はともあれ、母親が子どもを欲しくなくて、でも対策を講じていない場合には・・・・・。
それなら彼女は、将来また生まれ変わることになった時に、自分の母親が同じような理由で、彼女を中絶しようとすることに同意してしまうことになるのだ。なぜなら、因果の法則は、我々が招いたのと同じ状況に我々を置くものなので、前生で母親として中絶をした魂は、次に生まれ変わる時には子どもとして中絶されたり、妊娠することができたのに生む気がなかったので妊娠できなくなったりするのだ。子どもと両親との間の問題の多くが、中絶したりそうしようとしたことから派生したものだと知っているかね? 転生する魂が充分進化していなければ、未来の親に生まれる機会を奪われたことを赦せず、霊界から悪影響を及ぼして復讐しようとすることもある。また、やっと転生できた際に、妊娠中の無意識下の記憶が自分や親への敵対心に変わることもある。それがトラウマとなり、精神的または肉体的な病気で生まれることもあるのだ。
それでは、霊的観点から見て、中絶が容認されるケースは全くないのですか? 母親が死ぬリスクがあるとか、強姦の結果としての妊娠とか、子どもが奇形を持って生まれてくるとか、幾つかの外的な要因を思いつきますが。
最初の二つのケースは、容認することができる。
特に、母親が死ぬかもしれない明らかな危険性がある場合はだ。まだ生まれていない者の命と、もう生まれている者の命とのどちらかを選ばなくてはならないとしたら、後者を選ぶ方が好ましいからだ。強姦の結果妊娠した場合は、生まれる魂の権利よりも母親の自由意志が優先される。意に反して妊娠してしまった訳なので、母親には子どもを産まない権利があり、それは「自由意志の法則」に反する行為とは見なされない。
しかし、強姦といったおぞましい行為に起因するものでも、霊界は、常に生命を育むように応援する。このような状況が偶然の成り行きである場合は少なく、魂の前世での行いのせいで対峙する状況なのかもしれないと理解すべきだ。どちらにせよ、一番しっくりする選択肢を選ぶのは母親でなければならない。
君が提起した最後のケース、つまり胎児が何らかの先天性の病を持って生まれてくる場合は他とは全く異なり、それを理由に中絶することは、霊的観点からは擁護できない。
君たちの物質主義的な視点では、何かの先天性の病を持つ人の人生は無駄であり、苦しみには意味がないと思われている。
しかし、霊界では、別の展望で物事を見るのだ。不完全な肉体の奥に、健全な肉体に宿るのと同じ魂がいることを理解しなさい。魂が、その力量に見合う道具を持たないために物質界で完全に自己表現できなくても、健全な身体に宿った存在と同じように感じたり気づいたりできない訳ではないし、自分自身で選択したであろうその体験から学べない訳でもない。
このような状況に生まれ変わる魂は、偶然にそうなったのではない。君たちには多難で不可解に見えるかもしれないが、それは、転生する魂と受け入れる家族の霊的な進化に、貢献できる環境なのだ。肉体または精神の障害というものは、肉体が死を迎えるやいなや消滅する、一時的な状況に過ぎないのだ。しかし、その体験を通して目覚め、補強された本人や他の人たちの感情は、霊的な成果として永遠に存続する。だから、このケースのような状況で中絶をすることは、一人か複数の魂の進化の可能性を断つことになるのだと気づきなさい。
それなら、赤ん坊の先天的な病気を避けるために、卵子、精子、受精卵の選別などの技術を用いるのは、病気が進歩に役立つよう魂が選んだ状況かもしれないし、前世での悪行の結果かもしれないので、間違ったことなのですか?
もちろん間違っていない。それは全く別だ。病気やその他の苦痛を伴う状況を予防しようと尽力することは、常に肯定できる。だがそれによって、別のもっと辛い状況を生み出してはならない。病気を防ぐ行為が非難されるのではなく、命に反する行為が非難されるのだ。
前に扱った中絶のケースでは病に苦しむという災いを避けようとして、生命の抹殺という別の災いを生み出してしまっている。
だが、この場合は全くその逆だ。命を生み出しながら病気と闘うことであり、命は破壊されないので、常に肯定できることだ。
いかなる場合でも、助けが必要な人を、その人が誰であったか何をしたかにかかわらず、助けてあげるべきだと心しなさい。人間を左右する理解し難い辛い状況が何に起因するのかという知識は、理解を深め、理解によって必要な人を支援できる力を得るために与えられるのだ。前世での悪事に見合っているという口実が、その人への支援を拒むために利用されてはならない。
母親の体外での、試験管での受精の場合、胚移植されない受精卵はどうなるのでしょうか?
魂は、冷凍された受精卵には結合しないので、心配無用だ。このような体外受精のケースでは、受精卵に成長できる可能性が全くなければ、魂は結合しない。魂は、受精卵が発育できるように子宮に戻される時に宿るだろう。
だが、体外受精や人工授精であった場合には、両親の魂よりも霊的に進歩した存在が顕現する可能性は失われる。
それは、なぜですか?
なぜなら、そうなるためには両親となる魂が愛し合う必要があるからで、受胎の性行為の間の、愛という高振動のエネルギーを蓄積させた瞬間に、ずっと進化した高波動の魂の入体を可能とするからだ。
魂の過去の意識や記憶は、いつ失われるのですか?
妊娠の過程で失い始めることもあるが、トラウマとなる急激な形ではなく、眠気を催した時のように、魂は徐々に昏睡状態に入っていく。進化の乏しい魂はすぐに昏睡状態となる。
進化した魂は霊的により自立しているので、意識ももっと後に失う。誕生の瞬間まで自由自在でいられ、子どもとして何年か経過するまでは自由を完全に喪失しない場合もある。
男性として生まれた魂が次に女性に生まれ変わることや、その逆も可能ですか?要は、魂は常に同じ性に生まれ変わるのですか? それとも転生から転生で、異なる性に変われるのでしょうか?
純粋な状態では魂には性別がないので、性別とは、物質界で顕現する必要性から生じるものだ。よって、霊的な学びの必要性によって、同じ魂が一つの人生では男性であり、次には女性になることがある。だが、転生にはどちらかの性をより熱心に選ぶ傾向が見られ、男女として一緒に転生することを決めた双子の魂がいる場合は、相手は反対の性を選ぶ。
でも僕の理解では、肉体から離れた魂が生きている人に現れる場合には、男性か女性かを区別できることが多いようです。魂に性別がないのでしたら、どうしてそういうことがあり得るのですか?
肉体を離脱していても、魂がまだ人間の進化段階にいる場合には、性別を区別できる特徴をアストラル体に保ち、自己の進化状態に見合った外見や一番好きな姿で現れることができるためだ。
死後間もない魂は、少なくともしばらくの間は最後の生の容姿の特徴を保っている。だが、魂が進化していて、最後の転生の出来事から完全に解放されている場合には、その顔立ちはより美しく、老化の跡は見られないだろう。
必要があって、高次の霊が生きている人の前に現れる際には、果たすべき任務に最適な容貌をとるものだ。
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魂の法則 Part1【序文】
魂の法則 Part2【最初の出会い】
魂の法則 Part3【神】
魂の法則 Part4【霊的世界】
魂の法則 Part5【進化の構図】
魂の法則 Part6【人間の構成形態】
魂の法則 Part7【人間の転生とそれが霊性進化に果たす役割】
魂の法則 Part8【霊界との交信】
魂の法則 Part9【転生のプロセス】
魂の法則 Part10【他世界での生】
魂の法則 Part11【自由意志の法則】
魂の法則 Part12【霊的裁きの法則】
魂の法則 Part13【愛の法則】
魂の法則 Part14【愛VSエゴ(我欲)】
魂の法則 Part15【虚栄心(見栄)・自尊心(プライド)・自負心(尊大)】
魂の法則 Part16【エゴ的感情】
魂の法則 Part17【人間関係と「愛の法則」】
魂の法則 Part18【「愛の法則」から見た病気】
魂の法則 Part19【イエスの地上での使命】
魂の法則 Part20【別れ】
魂の法則 Part21【あとがき】