あとがき
見返りを求めないという無条件の愛の趣旨にふさわしく、この本がすべての人に無私の志で届いてくれることを切に願う。
そのため、内容を変更せずに営利を目的としないのであれば、本書を自由に取り扱ってくれてよい。すべてのメディアでの全体あるいは一部の複製をこの場で許可し、その活動を後押しするものとする。皆の協力によって、輪が広がっていくことが僕の願いだ。霊性や愛のテーマに関しての質問があれば、それが個人的なものでも一般的なものでも気兼ねなく聞いてもらえれば嬉しいし、可能な限り返事をしたい。
また、できるだけ多くの人びとにメッセージが行き渡るように、本書を他の言語に訳してくれる、私心なき人たちの協力もお願いしたい。
話を直接聞きたい人の数がある程度まとまって、君の町や村に僕たちに行って欲しい場合は、遠慮なくそう教えて欲しい。君の町や村が、他の国や別の大陸にあっても構わない。僕たちのできる範囲で、要望に答えたい。
講演会での依頼者側の費用負担は心配ない。完全に無私無益の活動なので、旅費や宿泊費も僕たちが持つ。誰でも興味のある人が、自由に無料で参加できることが条件だ。
君に、僕の愛のすべてをこめて。いずれどこかで会えるときまで。
ヴィセント・ギリェム
著者より
多くの人によく、「どうして科学者が霊性について語るのですか」と聞かれます。
確かに私は生化学博士ですから、科学的な教育を授かりました。ですが一人の人間として、人生の意義について皆と同じ様に自問してきました。人はどこから来るのか? そしてどこに行くのか? 私は何者か? などの質問です。私はカトリックが伝統の国で育ったので、宗教にも科学にも自分の求める答えを見出すことができなかったために、いわゆる不可知論者でした。でも、それらの問いは無視しようとしても黙殺できずに、私は疑問を抱えて過ごしました。
私のスピリチュアル的な変化は、極めて個人的なものでした。青年の頃、自分の人生の方向を見失い、生きる意味がないように感じ始めていました。肉体的にも病気になり、従来の医学に頼っても治すことができませんでした。代替療法を試してみたいと思っていた時、誰かがレイキのことを話しているのを聞いて、それを無料でしてくれる人のところに行きました。それが、私の最愛の妻となるフアニーでした。その時に考えたことは、「ただなら何も失うものはない」ということでした。セッションを続けるうちに、痛みはかなり引きました。フアニーは、私の肉体的な病は感情的な不快感がもたらしたものだと言って、その時私が抱えていた心理的な葛藤について話してくれました。彼女は私が誰にも話したことのなかったことを知っていたのですが、それはすべてを言い当てていました。
私が「どうしてそんなことがわかるの?」とびっくりすると、霊的なガイドたちが私を助けるために、教えてくれているのだと答えたのです。「そのガイドたちというのは一体どこにいて、私に何を望んでいるのだろうか?」と最初はかなり懐疑的でしたが、私に届くメッセージが本物だと感じたのは、それが私の問題についてピタリと言い当てていて、解決の役に立ったからです。それ以来、私はそれらのメッセージを考慮して、人生に取り入れてみることにしました。そして少しずつ、私の人生は変わり始めたのです。自分の精神的な葛藤を克服するに従って、身体の病も良くなっていきました。これが私の霊的な変化の始まりです。
のちに私自身も、霊的なガイドとの交信を持ち始めるようになり、大半の人びとが彼らがいることに気づくことも、またどれ程私が助けられているのかを知ることがなくても、彼らが実際に存在していて私たち皆を支援してくれているのだということがわかりました。届けられた主なメッセージは、私たちが幸せになるために唯一必要とされるものは愛を知ることである、というものでした。また、私たちの命は生まれる時に始まるのでもなければ肉体の死と共に終わるのでもないこと、つまり肉体的な生命というものは不死である魂の生の短い一期間に過ぎないことを教えてくれました。ガイドたちは、私たちがこの物質界に何度も何度もやって来ているのだと言うのでした。それは、毎回少しずつ愛することを学ぶためで、これまでに学んだことに足されていくのです。そして、肉体的な生を終える度に私たちは本当の故郷である霊界に戻り、そこで私たちの愛情を発達させる努力をした成果を味わうことができるのだそうです。
そのうち、私自身が学んだことを他の人にも知らせる必要があったので病気の感情的な原因についての講演を開始して、私の住むスペインの国中、いつもフアニーに付き添われながら回ることとなりました。その次に、霊的な観点からの人生の意義について話し始めました。そうするうちに、私たち二人が知り得てたいそう役に立った霊的な知識のすべてを、本を著わす必要が出てきたのです。『魂の法則』はこうして生まれたのです。私たちはそれらの知識は二人に属するものではなく、皆のものであるとわかっていましたので、それで個人的な利益を生んではいけないことを知っていました。これが、私たちがスピリチュアルな講演などをする時はいつも無料で行い、本の流布に関連する利益の一切を放棄している理由です。
これまでにたどった道は、簡単ではありませんでした。人にどう思われるだろうか、仕事にどう影響するだろうかなど、多くの怖れを克服しなければなりませんでした。科学者の立場で、霊的なことや肉体的な病気と感情的な葛藤との関連を話すことは本当に勇気がいりました。日本や中国など東洋の国々では何世紀も前からこのことは知られているのでしょうが、西洋においては、感情面での原因が肉体的な病を引き起こすことは大変疑わしい目で見られています。西欧の医学は生体しか見ないので、大変物理的なのです。治療はほぼ全面的に薬剤に頼り、心理療法は取るに足りないものと思われています。
がん遺伝子の特定に関する研究員としての私の仕事では、抗がん剤が私たちの細胞のDNAに有害であり、それがどのように健康に影響を及ぼすのかという証拠を示したいと思っています。講演会においては、沢山の人びとに、肉体的な病気の多くが感情的な葛藤から生じていることを知ってもらい、それらの葛藤を手放すことが治癒の第一歩になることに気づいてもらおうと願っています。このことは、肉体的な病を癒すのに大切なだけでなく、より幸せになるために大事なことです。私たちの苦悩の原因を深く探り、それを特定できたなら、それらの状況を解消して苦しみを終わらせる決断をしなければなりません。『魂の法則』の中では、苦悩を引き起こす否定的な感情を「エゴ的感情」と呼んでいます。「エゴ的感情」の存在に気づき修正しなければ、私たちはそれらに人生を牛耳られ、不幸になってしまうのです。
「エゴ的感情」は実際のところ、エゴがいろいろな形態をとって顕れたもので、注意して周りを見てみるのなら、私たちの住む世界そのものがエゴに支配されていることがわかります。今の経済は、物質的なエゴに満ちた人たちに支配されていて、彼らは野心と強欲さや貪欲さで、他の何千、何百万という人たちに及ぼす痛みを全く構うことなく、自分たちの思いのままに市場を操作しています。しかも、彼らだけではありません。エゴは、すべてに浸透するので、多くの人たちがあらゆるエゴを満足させれば幸せになれると思いこんでいます。成功や富や名声や権力を獲得してエゴを満足させることができても、たいそう不幸な人たちがいます。ですから私たちは、それよりも永続的で大切なことを見出す必要があります。もっと内面を満たしてくれるもので、そのために人生をかけてもいいと思えるものです。そして私は、それが愛だと思うのです。残念なことに、多くの人はいい人になるためにはエゴをなくしていくだけではなく、愛の感情も抑圧する必要があると教わってきています。なんという過ちでしょうか!人間は、幸せになるためには、愛を放棄することなどできないのです!『魂の法則』は、進化の道程において私たちの指標となってくれるために書かれています。愛の感情を発達させる方法を学んでエゴをどのように認めて少しずつ排除していくのか、また、そのようにして段々と幸せになれることが願いです。
内面を変える努力をしてください。愛の能力を発達させてエゴを排除することです。なぜなら、それが真に幸せになるためのただ一つの方法だからです。それだけが、唯一人生でやりがいのあることです。私たちには自分自身を変えることだけしか出来ませんが、一人ひとりがそうすることによって、いつか集団としての大きな変化をもたらすことができるのです。その時、この世は地獄となる代わりに天国にと変われることでしょう。
最後に日本での発刊にあたり、『魂の法則』をこの世に顕すことを可能にして永遠なる感謝を捧げたいと思います。
私の魂の伴侶である妻のフアニーは、私とガイドたちに愛と献身のすべてで尽くしてくれました。彼女がいなければ、この本が生まれることはなかったのです。
それから『魂の法則』を日本語に訳してくれた小坂真理さんに、心から本当にありがとうと言いたいです。彼女は全くのボランティアだったにもかかわらず、本書が広まっていけるよう、惜しみない努力をしてくれました。『魂の法則』が日本にたどり着いたのは、彼女のお陰です。
皆さん、どうもありがとうございました。
2014年1月
ヴィセント・ギリェム
訳者あとがき――『魂の法則』に託す願い――
『魂の法則』をお読みくださり、ありがとうございます。どのような感想をお持ちになられたでしょうか。
『魂の法則』は、巷に溢れる多くのものと比べて、目新しいことや私たちを高揚させる魅惑的なことを言っているわけでもなく、地味で復習的な内容なのかもしれません。にもかかわらず、強いインパクトと共に本書が光って見えるのは、痛いまでに伝わってくる著者の真摯な姿です。
この本を読まれた方には、それが疑いのない事実であり、著者が自身の真実を心から語っているとおわかりいただけることでしょう。ヴィセントさんの純粋なエネルギーは温かく愛に満ち、同時に強く魂を揺さぶるもので、本物だと確信させてくれるに足るものなのです。
思うに、近年のスピリチュアル・ブームは、私たち人類のかつてない焦燥感を反映しているのではないでしょうか。それは、科学技術がめざましい発展を遂げたにもかかわらず、以前より幸せになったとは感じられないことを意味し、決して平和とはいえない現代社会の矛盾に満ちた様相を映し出しているのです。
何かが間違っていると感じつつ、どうしたら幸せになれるのだろうかと答えを求めて右往左往するその一方で、私たちを手玉にとって横行するスピリチュアル商法の数々や神の名を利用する者たち!著者の一貫した姿勢は、そのような偽善のすべてにNOを突きつけ、各人が神と繋がり、幸せを探すよう促してくれるのです。
平素は穏やかな口調が、時に厳しく糾弾します。
「霊的な真実らしきものを公開することで、金銭的な、またはその他の代償を貰おうとする者たちは、すべて、真の霊的な指導者だとは見なせない。『会員だけ』の真実というものは存在しないからだ」そして、真実と偽りとを見分けることで、私たち自身が真実を見つけることができるように後押ししてくれるのです。
「答えは自分の内に探しなさい。君たちの内面は、指導霊や高次の霊性と直接繋がっているので、思っているよりもずっと賢いのだ」
『魂の法則』は、前半では霊的世界の概要とそこでの法則を総括し、後半はこれまでに類のない冷静な斬新さで「愛とエゴ(我欲)」とを分析します。
著者にとっての霊性進化とは愛において進化することであり、愛における進歩とは、外部に愛を求めてばかりいないで自分の炎を灯すことを学ぶこと。言い換えれば、神を外に求めず、自分の中に見出すこと。
つまり、自分自身の力を信じ、一人ひとりが内面を変容することができれば、外界をも変えることができるのだと示唆しているのです。私たちは、霊的な師匠を名のる者に頼る必要などないのです。私たち自身で地球の未来を変えることが可能だと教えてくれているのです。
光と影、男性と女性、天と地などの二元的な視点の時代から、統合への時代に入ったと言われています。ヴィセントさんの望まれる科学と精神性との融合も間近かもしれません。
奇しくも二〇一三年と二〇一四年の両年は、日本〔東〕とスペイン〔西〕の交流400周年にあたっています。国家、民族を超える融合が益々進み、皆の力を合わせて希望ある世界、未来に書き換えていけるよう、『魂の法則』に私たちの願いを託したいと思うのです。
最後に、日本語での出版にあたり、ナチュラルスピリット社をご紹介下さいました山川紘矢・亜希子ご夫妻、それを心よくお引き受け下さいました今井博央希社長、心より感謝いたします。編集担当の笠井理恵さんにもお世話になりました。また翻訳や校正に際しても、東京在住の福嶋ひとみさんをはじめ、親身に応援して下さったマドリッドの多くの友人たち――石田美香さん、遠藤香利さん、小野英子さん、数間まゆみさん、鈴木美帆さん、平岡蘭子さん、村岡佳子さん、脇田御幸さん――の協力がなければ、この本を形にすることはできませんでした。
皆さま、どうもありがとうございました。
二〇一四年一月末日
小坂真理
■著者 ヴィセント・ギリェム プリモ Vicent Guillem Primo
1974年にスペインに生まれる。バレンシア大学で生化学博士号を取得し、現在はバレンシア大学病院の血液・腫瘍科で、がん遺伝子の特定に関する研究者として働いている。週末には、妻のフアニーと共に、無償でレイキ治療を施したり、病気の感情的原因についての講演活動を全国で行うなど、無私無欲に活動している。英語をはじめ、数カ国語に訳された本書『魂の法則』の他、続編の『愛の法則』を執筆。
ウェブページ:http://lasleyesespirituales.blogspot.com.es
日本語サイト:http://tamashiinohousoku.blogspot.com.es
日本語対応メールアドレス:tamashiinohousoku@gmail.com
上記のサイトで、『魂の法則』のPDFや電子書籍を無料でダウンロドできます。また講演会の日程等も調べることができます。
■訳者 小坂真理(こさかまり)
マドリッド在住。東京外国語大学スペイン語科卒。
著者の姿勢に感銘を受け、素人ボランティア翻訳を手がけた。
魂の法則 Part1【序文】
魂の法則 Part2【最初の出会い】
魂の法則 Part3【神】
魂の法則 Part4【霊的世界】
魂の法則 Part5【進化の構図】
魂の法則 Part6【人間の構成形態】
魂の法則 Part7【人間の転生とそれが霊性進化に果たす役割】
魂の法則 Part8【霊界との交信】
魂の法則 Part9【転生のプロセス】
魂の法則 Part10【他世界での生】
魂の法則 Part11【自由意志の法則】
魂の法則 Part12【霊的裁きの法則】
魂の法則 Part13【愛の法則】
魂の法則 Part14【愛VSエゴ(我欲)】
魂の法則 Part15【虚栄心(見栄)・自尊心(プライド)・自負心(尊大)】
魂の法則 Part16【エゴ的感情】
魂の法則 Part17【人間関係と「愛の法則」】
魂の法則 Part18【「愛の法則」から見た病気】
魂の法則 Part19【イエスの地上での使命】
魂の法則 Part20【別れ】
魂の法則 Part21【あとがき】