魂の法則

魂の法則【別れ】

魂の法則【イエスの地上での使命】

別れ

「今日は君をびっくりさせてあげよう」と、イザヤはある日、僕を見るなり言った。

「へえ、何でしょうか?」

「今まで君がここにやって来た時は、いつも私しかいなかったね。我々は、そのほうが君がもっと気楽に質問をしやすいと思ってそうしていたのだ。だが、ここが、誰も住んでいない孤独な場所だとは思って欲しくない。君はもう、私を信頼してくれているし、この世界にも馴染めたので、他の者を紹介してもいい頃だと思うのだ。ついておいで。皆に紹介して、君に会いたがっていた友人と少し話をしよう」

そしてどうやったのかわからないが、僕たちは、その景色の上を飛び始めた。
上空から、その素晴らしい景色を眺めることができた。
緑の美しい谷に点在した、半球体の小さな建物が見えた。何だろうと質問しようとして口を開く前に、イザヤが「我々の家だよ」と答えた。
集落の中心には、ガラス張りに見えるもっと大きなピラミッド型の建物があって、そこから輝くばかの白い光が出ていた。「あそこが、瞑想をするために集まる場所だ。我々は、霊的な教えを授かるために高次の惑星とテレパシーで通信し、後進の惑星とも、全人類に愛の教えを伝えるために交信するのだ」と、イザヤが言った。
そして、その内部に入ると、完全に透明な壁を通して中の様子を見ることができた。壇上に、輪を描いて座っている30人ほどの人がいて、とても集中しているのが見えた。その瞑想では、各人がそれぞれの役割を担っているようだった。そのうちに、輪の真ん中に、二人の人の姿が形を現し始めた。一人は男性で、もう一人は女性だったが、非常に美しく、大変穏やかで心地の良い光のオーラに包まれていた。

二人は、そこにいる人たちと熱のこもった挨拶をし、何らかの言葉を交わした後、僕たちに近づいて来た。以前、イザヤのまなざしは透き通り、深い平和と愛の感覚を伝えてくれると言ったが、この二人のまなざしはそれ以上に深く、天使のように思えた。

「こんにちは。私はベスタよ」と、女性の方が言った。
「やあ、僕はジュノーだよ」と、男性が言った。「もう一度君に会いたいと思っていたんだよ」

もう一度? 二人のことなど知らないのに。前に会ったことがあったとしたら、忘れる筈がないし・・・・・、と僕は思った。

ベスタ:覚えてなくても、知らない訳じゃないのよ。

イザヤ:イエスのことが知りたかったんだろう? 二人は、イエスをよく知っているんだよ。知りたいことを聞いてごらん。二人は、私たちとは長くいられないだろうから、時間を無駄にしないことだ。何も聞かないのかね? 恥ずかしがらないことだ。友達ではないか。

ベスタ:思い切って質問ができないのなら、私が手伝ってあげるわ。イエスに、性関係も含めたすべてを分かち合える女性の伴侶、つまり双子の魂ツインソウルがいたのか、を知りたいのよね。

なぜわかったのですか? と、僕は顔を赤らめながら答えた。

イザヤ:この期に及んでも、我々が思考を読めることに気づけないのかね。だが、心配するに及ばん。誰にも言わんからね、はっはっは。

ベスタ:私が答えてあげるわ。質問の答えは「はい」、よ。イエスには、性も含めてすべての愛を共有できる女性がいたし、もちろん今でも、その完全に似通った相手がいるわ。それにそれは、イエスだけではないわ。彼と同じか、それ以上のレベルの人間だけが住む世界も存在していて、そこでもパートナーや子どもがいて、そして性関係があるのよ。これが、霊的に進歩すると異性愛を放棄することになるのか、というあなたの質問への回答になったかしら?

はい、とてもはっきりしました。

ジュノー:イエスが地上で、人生を共にする相手と巡り会えなかったとしたら、それは彼の双子の魂が、別の惑星で似たような任務を果たしていたから、その時期に一緒にいられなかったからなのだ。でも、その別離は一時的なものだった。
イエスは、彼より進化が劣った女性とは、一緒になる約束ができなかった。そうしても、その女性には彼の使命が理解できず、執着によってあらゆる手段で彼の任務の妨害をしたであろうし、彼を失うことで非常に苦しむ結果になったであろうからだ。
だがそれでも、彼が相手を探そうとしなかった訳ではない。若い時分は、まだ自己の使命をよく自覚していなかったので、イエスも大半の人と同様に、愛せる女性を見つけて一緒になりたいと願ったことがあったのだ。

イザヤ:もっと質問をするかね、それとも、もう二人に帰ってもらってもいいのかい?

では、いつも知りたいと思っていたのですが、イエスは、彼の後にできたキリスト教や教会について、どう思っているのでしょうか?

ジュノー:イエスがここにいたとしたら、次のように言っただろう。

教会や宗教を創る意図など全くなかった。まして、私の名や言葉や行いなどを利用して創り上げた私個人への信仰に基づく宗教など、なおのことだ。
キリスト教は、人間の感情や自由を非常に抑圧しているので、愛の手本を示すどころか、それと最もかけ離れたものになってしまった。
私を賛美し称賛してくれるように、と教えたことも頼んだことも決してない。神も称賛を求めていない。神は、神自身が君たちを愛するように、君たちもお互い同士を愛して、幸せになって欲しいだけだ。私は、単に愛の教えを伝えるためにやって来た。私の生き方でそれを実践してみせて、君たちがそれを手本にして教えを取り入れて、幸福への道を見出せるようにしたのだ。
この愛の教えは、私個人のものではなく、霊的世界のもので、神から全人類への普遍的な教えだ。それを伝道したのが私であったことは、重要ではない。愛の叡智のある別の兄弟であったとしても、同じことなのだ。
私の名や神の名において、どれほどの非道、殺人、拷問、辱めが人類に行われたことだろう!互いに愛し合いなさい、敵を愛しなさい、と何百回となく言わなかっただろうか? 私の信奉者だと名のる者たちは、一体私のどこに、そのような愛に反する行為の口実を見つけたのだろうか?
愛の教えを世に示すふさわしい者になりたければ、祭壇や十字架や宗教遺物の前で、ひざまずくのはやめなさい。偶像を崇拝するのも、祈りを繰り返し唱えるのも、無意味な儀式もやめなさい。そのようなことをしても、愛ではないからだ。見返りを全く期待せず、威張らず、改宗させようとせず、謙虚に、苦しんでいる同胞に手を差し伸べるのだ。そうすれば、愛の使徒と呼ばれることだろう。
私が示した愛の教えの手本に従わない者には、誰一人として、私の名や神の名を語る権利がないし、私や神の信徒であると名のることもできない。そういうものは、自分のエゴに追随しているだけなのだ。

イエスが再び地上に生まれ変わったとしたら、人類になんと言うでしょう?

ベスタ:最後に言ったことと、それ以前にやって来た時に言ったことと同じように「愛しなさい。お互いに愛し合うのだ。それだけが幸せになれるのだ。その他のことは、どれも重要ではないのだ」と言うでしょう。

僕の人生でずっと疑問に思っていたことの答えを知る機会が持てて、とても恵まれていると思います。お陰様で、僕は、心を開いて感情を表すことができるようになり、自分自身の鎧と抑圧から解放されました。助けていただいたお礼に、何かしたいのですが。

イザヤ:何も感謝する必要はないよ。逆に、時間を割いて熱心に話を聞いてくれた君に、我々が感謝している。愛において成長したいと思っている弟を手助けできたことを、幸せに思うよ。

それでも、お礼に何かしたいのですが。何がいいでしょうか?

ベスタ:自分に、何がしたいのか聞いてみてごらんなさい。

あなた方から教わったことを他の人にも伝えて、皆で共有する必要があるように感じているのですが。もしかしたら、僕に役立ったと同じように、皆の役にも立てるのかもしれません。

イザヤ:それなら、君自身が自分の質問に答えているよ。君が知り得たこと、経験したこと、感じたことのすべてを集めて、君の兄弟たちに見せてあげなさい。彼らに、無条件の愛の教えと、霊的世界の真相を教えてあげられるようにするのだ。

でも、耳を傾けてく人がいると思いますか?

ジュノー:やろうと思うことを心からやってみること自体に、価値があるのだ。もし百万人に一人でも、このメッセージに耳を傾けてくれる人がいて、その人が感情を目覚めさせ愛の経験に心を開くことができたのなら、その価値はあったということなのだ。
霊性に目覚めたいとは思っているのに、まだ眠ったままの人が、この世には沢山いる。内面で感じていることが、空想の産物ではなく現実なのだよと、同意してあげるだけで充分なのだ。君たちの世界では、霊性に関する真実と虚偽とがまだ混乱を極めているので、外部の世界には、その真相がなかなか反映されないからだ。

でも、それをする能力が僕にあるでしょうか?

ベスタ:その能力があるのか、と問うのはやめなさい。全員に愛する力があるのだから、多くの人にその能力があるわ。だけど、自分の日常生活に差し障るのも構わないで、気楽さを放棄してまでそうしようと思う人は僅かよ。自分自身に、やりたいのか、やりたくないのかを聞いたほうがいいわ。したいと思うこと自体、すごい力なのよ。あなたにできないことは、私たちが手伝ってあげる。いつも、あなたと一緒にいるわ。

メッセージの内容で、不快になって、僕に仕返しをしようと思うような人はいないでしょうか?

イザヤ:それは冒さなければならないリスクだ。誰も簡単だとは言っていない。皆が自分自身で覚醒できるなら、誰もこんな仕事をしなくてもいいだろう。だから、君自身の中でどちらの思いが強いのかを、秤にかけて見なければならない。他者を助けたいという思いなのか、君への否定的な反応を恐れる気持ちなのか。したくないことで義務づけられることなどない。することはすべて、自分のためにするのだ。君が自由にそうするのであり、我々に借りがあるからとは思わないことだ。

ジュノー:かつては、愛の伝道者は、火刑にされたりはりつけにされたりしたものだよ。でもそんなことは君には起こらない。
誰かが君の言うことで不愉快になるのなら、喜びたまえ。君の言ったことの何かがその人の内面に触れたということだからだ。魂と感情が目覚めて抹殺されてしまうのが嫌な、その人のエゴに火がついたのだ。

イザヤ:さて、もう二人は家に帰るためにここを去らねばならない。君も、肉体に宿る者の世界に戻らなければならない。

ジュノーとベスタ:じゃあ、また会う日まで。私たちの愛のすべてを受け取って!

そして、皆で溶け合うように抱擁し合って別れたが、それはあまりにも鮮烈な感覚を伴う体験だったので、僕は決して忘れることはないだろう。

イザヤ:では弟よ、また会う時まで。すぐに再会できて、対話を続けられるといいのだが。我々の家族に、よろしく伝えてくれたまえ。

どの家族のことでしょうか?

イザヤ:どれだと思うのかね。全人類の家族にだよ。

(終わり)

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